英独仏にイスラエル、ブースター計画着々 WHO要請尻目に
(CNN) フランスのマクロン大統領は7日までに、新型コロナウイルスの感染予防策として今年9月にワクチンの追加接種で免疫の向上を狙う「ブースター」を開始する計画を進めると発表した。
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が4日、低所得国との接種格差を踏まえ、3回目の追加接種を少なくとも9月末まで中断するよう高所得国に促した要請を無視する形での宣言となった。マクロン氏の発言は5日だった。
フランスだけでなく英国、ドイツやイスラエルもブースターを9月前もしくは同月中に着手する動きを見せている。
マクロン氏はインスタグラムに載せたビデオ声明で、欧州の他国と同様、フランスも最年長層や感染の危険性が高い国民への3回目の投与を準備していると指摘。9月の初めに実施するだろうとした。
英独やイスラエルはブースターを感染力が強いデルタ型変異株のまん延を遅らせるための
対策と位置づけている。
一方、米ホワイトハウスのサキ報道官も4日、バイデン政権はブースターが必要な事態となったら実施をいとわないとの考えを表明。この問題に関する米食品医薬品局(FDA)の指針の改定が必要としながらも、テドロス事務局長の主張を「誤った選択」と退けた。
WHOは今年になりブースターへの反対姿勢を一貫して維持。優先すべきは接種が遅れている各国住民への投与とし、この努力が感染力がより強力な変異株の出現の阻止にもつながると主張している。
WHOによると、アフリカ諸国の接種率は現在、最低水準にあり、予定回数のワクチン投与を受けた比率は総人口の2%以下となっている。半面、新型コロナが原因の死亡者は先月、アフリカ大陸で80%の激増を示した。
富裕国は製薬企業とのワクチンの追加接種分を確保する契約を続けている。例えば米国は先月、米製薬大手ファイザーとの間で小児用ワクチンとブースター用の分として2億回分のワクチン購入契約を済ませていた。