中国製ワクチンを使う国で感染拡大、必ずしもワクチンの失敗を意味しない理由<上>

シノバック製ワクチンのケースを冷蔵室から運ぶ医療従事者=インドネシア/Timur Matahari/AFP/Getty Images

シノバック製ワクチンのケースを冷蔵室から運ぶ医療従事者=インドネシア/Timur Matahari/AFP/Getty Images

専門家は中国製ワクチンを使った地域での感染拡大について、こうした有効率から予想される結果とおおむね一致していると指摘する。

香港大のジン・ドンヤン教授(分子ウイルス学)は「重症例や死者数を減らしたいのであれば、シノファーム製やシノバック製は助けになる」と語る。

同大のベン・カウリング教授(感染症疫学)も、中国製ワクチンは重症者や死者の数を抑えているようだと指摘し、「私は中国製ワクチンは確かに効果を発揮していて、多くの命を救っていると思う」としている。

チリやモンゴル、セーシェルで何が起きているのか

チリでは毎日数千人の新規患者が報告されている。国民の55%がワクチン接種を完了済みで、そのうち80%近くがシノバック製を接種した。

ただし保健省によると、6月17~23日に集中治療室に入っていた患者のうち、73%は接種未完了だった。

セーシェルでも同様の状況であり、当局によると、ほぼ全ての重篤患者や重症患者が接種未完了の人だった。同国では60歳未満の成人にはシノファーム製、60歳超にはインドで製造された英アストラゼネカのワクチン「コビシールド」を使っている。コビシールドも発症予防率は76%、重症化または重篤化の予防率は100%と似たような値だ。

セーシェル保健省は先月のフェイスブックへの投稿で、新型コロナによる同国の死者63人のうち、3人はワクチンを2回接種済みだったと明らかにした。3人の年齢は51~80歳だった。

モンゴル保健省で公衆衛生政策の実施責任者を務めるエンフサイハン・ルハグバスレン氏によると、同国では国民の53%が接種を完了し、そのうち80%はシノファーム製を接種した。モンゴルでの感染者の5分の1は接種完了者だが、死者の96%はワクチン未接種か1回のみの接種の人だという。

同氏は、シノファーム製ワクチンは非常に高い有効性を発揮したと主張。「これは悪い、あれは良いと言って新型コロナワクチンを区別することはできない。入手可能なワクチンはどれも重症化リスクを低減する効果がある」としている。

世界的にワクチン供給が不足するなか、多くの途上国にとって他の選択肢はほとんど存在しなかった。モンゴルはワクチン分配の国際的な枠組み「COVAX(コバックス)」を通じアストラゼネカ製ワクチンを11万2000回分以上、ファイザー製を12万6000回分わり当てられたものの、生産の問題やインドでの感染拡大により到着は遅れている。

なぜ接種済みの人が死亡しているのか

シノバックやシノファーム製ワクチンの対象者の一部は接種後も死亡しているが、こうした「ブレークスルー感染」はどのワクチンでもありうる。

赤十字が先週「崩壊の瀬戸際」にあると警鐘を鳴らしたインドネシアでは、2月から6月26日の間に少なくとも88人の医師が死亡した。インドネシア医師会のリスク低減チーム責任者、アディブ・クマイディ氏によると、このうち少なくとも20人はシノバック製の接種を完了していた。35人はワクチン未接種、33人の死者については依然調査中だという。

インドネシアでは5月と6月だけで推計1600人の医師が感染したが、そのうち何人がワクチン接種済みだったのかは明らかでない。

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