アストラゼネカ製ワクチン、欧州各国が相次ぎ使用中断 血栓との関係調査
(CNN) デンマークとアイスランド、ノルウェーは、英アストラゼネカとオックスフォード大学が共同開発した新型コロナウイルスワクチンの使用を一時的に中止した。欧州連合(EU)の欧州医薬品庁(EMA)は、相次ぐ血栓の症例報告と同ワクチンの関係について調査に乗り出している。
デンマークは11日、国内で血栓の症例が多数報告され、1人が死亡したことを受けて、同ワクチンの接種を2週間中断すると発表した。アイスランドとノルウェーもこれに続いたが、中断の期間は明らかにしていない。
デンマーク保健相は「予防的な措置」と位置づけ、まだ結論を出すことはできないと強調、「徹底した調査が必要だ」とツイートした。
アイスランドの保健当局はCNNの取材に対し、同国内では患者に血栓ができる症例は報告されていないものの、現時点ではデータの欠如が懸念されるため、EMAの勧告を待つことにしたと語った。
EMAは11日、同ワクチンの使用中断は勧告しないと述べ、「現時点でこのワクチンがそうした症状を引き起こした兆候はなく、この症状は同ワクチンの副反応として記載されていない」と説明。「同ワクチンには依然としてリスクを上回るメリットがある。血栓塞栓症の症例について調査が続けられる間も、同ワクチンの接種は継続できる」との見解を示した。
EMAはさらに、欧州でワクチンを接種した人に血栓ができる確率が、接種していない人に血栓ができる確率を上回るわけではないとしている。
ノルウェー公衆衛生研究所は、デンマークで血栓のために1人が死亡したとの報告を受け、接種を一時的に見合わせることにしたと発表。ノルウェーでも新型コロナワクチンの接種直後に血栓ができる症例が複数報告されているとしながらも、そうした症例は主に、基礎疾患がある高齢者に報告されていると指摘した。
スペイン公衆衛生委員会は11日、EMAが副反応に関する完全検証を行って結論を出すまで、55~65歳を対象とするアストラゼネカのワクチン接種は遅らせると表明した。
スペイン保健相は同日、現地のテレビ局を通じて冷静になるよう呼びかけ、スペインでは血栓に関連した症例は報告されていないと強調した。
欧州ではこれに先立ち、オーストリアで49歳の女性が血栓症のため7日に死亡したことを受け、多数の国が特定のバッチ番号のアストラゼネカ製ワクチンの使用を一時的に中止していた。EMAは10日、このワクチンが血栓や死亡に関係していた兆候はないと発表している。
アストラゼネカは11日に声明を発表し、「同ワクチンの安全性についてはフェーズ3の臨床試験で集中的に検証され、査読を受けたデータでも全般的に良好な忍容性が確認されている」と強調した。