ロシア、ウクライナ大統領の偽情報工作を強化 米情報機関分析
(CNN) ロシアがここ数カ月にわたりウクライナのゼレンスキー大統領の信用を失墜させ、その正統性に疑問を生じさせるための偽情報工作を強化していることがわかった。米情報機関の評価で明らかになった。
バイデン米政権高官がインタビューで語ったところによると、情報機関による最近の評価から、ロシアはゼレンスキー氏の能力とウクライナの指導者としての地位に関する批判をあおるために最近起きたさまざまな出来事を利用していることが分かったという。
同高官によると、ロシアは開戦前からゼレンスキー氏に関する偽情報を広めてきたが、最近は「確実に増えている」。
ロシアのこの動きはウクライナ北東部でロシアが攻勢を強めている中で増しているが、こうした傾向は数カ月前からみられるという。同高官は、これは2年以上にわたって戦時大統領を務めるゼレンスキー氏の「手ごわさ」を反映していると主張する。
「私はこの偽情報工作を、ゼレンスキー大統領がこの紛争を通じて、安定した献身的な極めて重要な国の指導者であり続けている有能さに関連していると考えている」
ロシアはこの最近の偽情報工作で主に二つの点を強調している。一つはウクライナがドネツク州アウジーイウカから撤退したこと、もう一つはウクライナが今春予定されていた大統領選挙を戦時中のため延期したことだ。
ゼレンスキー氏は、包囲を避け、兵士の命を守るためにアウジーイウカからの撤退を命じたと語った。
同高官によると、現在ロシアが流布しているシナリオは、ウクライナのこの決断は戦略的なものではなく「むしろ他の動機がある」というものだ。同高官はロシアが発するメッセージに詳しくは言及しなかった。
ロシアが2022年2月下旬に侵攻を開始した際、ゼレンスキー氏は戒厳令を敷き、ウクライナ議会によって承認された。それ以来、戒厳令は続き、今年実施される予定だった大統領選は延期された。
ロシア側は大統領選の延期を利用し、ウクライナ人がゼレンスキー氏の正統性に疑問を抱くだろうという主張を推し進めており、プーチン大統領の報道官もそうした発言をしている。
ゼレンスキー氏は以前、この主張を「ロシアが仕向けたこと」として否定していた。