バス車内でアジア系学生を刺した女、人種が動機と供述 米インディアナ州

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ビリー・デイビス容疑者。殺人未遂などの罪に問われている/Monroe County Corrections

ビリー・デイビス容疑者。殺人未遂などの罪に問われている/Monroe County Corrections

(CNN) 米インディアナ大学に通うアジア系の学生が、バスの中で一方的に襲われ、ナイフで何度も刺される事件が起きた。裁判所の記録や学生団体によると、容疑者の女は調べに対し、人種が動機だったと供述している。

米国ではアジア系住民に対する差別事件が全土で後を絶たない。CNN提携局WTHRが入手した裁判所の記録によると、今回の事件は11日、インディアナ州ブルーミントンで発生。白人のビリー・デイビス容疑者(56)が殺人未遂や暴行などの罪に問われている。

調べによると、デイビス容疑者と被害者の女性は、同じバスに別々に乗車していたが、被害者が下車しようとしたところ、デイビス容疑者が近くの座席から立ち上がって折り畳みナイフで被害者の頭を突き刺し、けがを負わせたとされる。

デイビス容疑者は調べに対し、被害者をナイフで刺したのはこの女性が中国人だったからだと供述。「これで私たちの国を吹き飛ばす人間が1人減る」と主張した。

女性を刺したデイビス容疑者は、バスを降りて徒歩で立ち去り、ナイフを捨てた後、当局に拘束された。被害者は病院に搬送されたが、容体は分かっていない。

バスの防犯カメラの映像によれば、事件前にデイビス容疑者と被害者の女性が争った様子はなかった。

米国ではコロナ禍に関連してアジア系住民が嫌がらせや暴行を受けたという報告が急増した。カリフォルニア州立大学の調査によると、2021年1~3月期だけで、全米16の大都市と郡で報告されたアジア系に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)の件数は、前年同期比で164%増加した。

21年にはアトランタ地域のスパで8人が銃撃されて死亡する事件が発生。被害者のほとんどはアジア系女性だった。同年4月、ニューヨーク市で中国系米国人男性が殺害された事件では、ヘイトクライムとしての殺人の罪で起訴された男が先週、罪状を認め、22年の禁錮を受け入れた。別の男は21年に中国系の女性を石で殴った罪に問われ、禁錮20年を言い渡された。

今回のインディアナ州の事件を受けてブルーミントンのジョン・ハミルトン市長は、憎悪に根差す暴力を非難し、人種を動機とするこのような事件は市民の安心感を損なわせると指摘。14日に発表した声明で「我々はアジア系住民と、この事件に脅威を感じる全ての人に寄り添う」とした。

インディア大学アジア文化センターによると、被害者は18歳のアジア系の学生だった。同センターは「一方的な暴力行為に憤り、強く心を痛めている」と述べ、「公共交通機関で自分の命を恐れることがあってはならない。バス乗車に危険を感じることがあってはならない」と強調。「加害者が攻撃を加えた動機は人種だったと発表した事実は、アジア系社会に衝撃を与えた」「だがそれは、聞き覚えのある衝撃になりつつある」と述べている。

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