ケネス・スター元米独立検察官が死去、クリントン元大統領を追及

（ＣＮＮ） 米国の元訟務長官で、１９９０年代に独立検察官として政治スキャンダルの渦中にあったクリントン元米大統領を捜査したケネス・スター氏が死去した。７６歳だった。

家族の声明によると、死因は手術による合併症だという。

スター氏の息子、ランドール氏は子どもたちを代表して発表した声明で、「敬愛するやさしい父、そして祖父の死に深い悲しみを覚えている。私たちは父の並外れた勤労精神を尊敬しているが、父はいつも家族を第一に考えていた」などと述べた。

スター氏はトランプ前大統領の最初の弾劾（だんがい）裁判の際、弁護団に加わった。２０１０年～１６年には米ベイラー大学の学長を務めた。

保守的な共和党員のスター氏がクリントン氏の捜査に関わったきっかけは、１９９４年に連邦控訴裁から独立検察官に任命されたことだ。この捜査は、当時大統領だったクリントン氏と妻ヒラリー氏の不動産関連疑惑への関与を調べるものだった。

最終的にクリントン氏夫妻がこの件で訴追されることはなかったが、スター氏の捜査対象はその後、ポーラ・ジョーンズさんの提起したセクハラ疑惑に拡大。その過程で、スター氏はクリントン氏とモニカ・ルインスキーさんの不倫に関する捜査を主導することになった。

不倫問題の捜査の結果、クリントン氏は連邦大陪審への偽証と司法妨害の２容疑で弾劾訴追されたものの、９９年２月に上院から無罪評決を言い渡され、残りの任期を全うした。

このスキャンダルは１年以上にわたって米政界やメディアの話題の中心を占め、スター、クリントン両氏は９８年、米誌タイムの「今年の人」に選ばれた。スター氏の捜査は政治がますます党派的になり、政治家の私生活にタブロイド的な関心が寄せられる時代を反映したものとみなされた。

スター氏自身はクリントン氏の追及に政治的な動機があるとの批判を退けていた。