算数の新規教科書41%不採択、「批判的人種理論」など理由に 米フロリダ州

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フロリダ州教育省のコーコラン教育長(右)とデサンティス知事=3月17日/Michael Snyder/The Northwest Florida Daily News/USA Today Network

フロリダ州教育省のコーコラン教育長(右)とデサンティス知事=3月17日/Michael Snyder/The Northwest Florida Daily News/USA Today Network

表現の自由を掲げる団体「PENアメリカ」によると、米国では昨年以降、人種主義や性差別主義、米国史の指導法を制限する法律が複数の州で少なくとも十数本可決され、100本以上の法案が提出された。

PENアメリカの幹部ジェレミー・ヤング氏はフロリダ州での教科書不採択について、教育と政治のどちらに基づいて決定が下されているのか疑念を生む出来事だと指摘する。

「今回の不採択は、公立学校への信頼を損なおうとする取り組みが多方面から行われる中で起きた。検閲を正当化する流行語を思い起こさせるもので、そうした言葉は曖昧(あいまい)で定義がはっきりしない」「算数の教科書の価値というのは、生徒が数学的概念をどれだけ効果的に習得できるかとの観点から評価されるべきだ」(ヤング氏)

フロリダ州では2021年6月、議会が学校で批判的人種理論を教えることを禁じた。デサンティス氏は当時、学校で批判的人種理論を認めてしまえば、子どもたちに「米国が腐っていて、国の制度は正統性を欠いている」と教えることになると主張していた。

この州法では、学校教育は「事実に関する客観的」なものでなければならないと規定。特に「歴史的な出来事をわい曲する理論」を禁止し、「批判的人種理論、つまり人種主義は単なる偏見の産物ではなく、白人の優位性を維持する目的で米国社会や法制度に組み込まれたものだとする理論」もその中に含まれるとした。

フロリダ州はまた、最初の奴隷船が米国に到着した1619年8月を中心に米国史を再構成する米紙ニューヨーク・タイムズのプロジェクト、「1619プロジェクト」から教材を採用することも禁止した。

教育省の声明によると、不採択の数が最も多かったのは幼稚園から小学校5年までを対象にした教科書で、「憂慮すべきことに」71%がフロリダ州の基準に適合していないか、禁止されたトピックを含んでいた。

デサンティス氏は声明で、教科書の内容が法令に適合しているか調べた教育省の徹底的な審査に感謝すると表明。「一部の出版社はコモンコアや人種本質主義のような洗脳概念を土台に築かれた古い家に、新たな装いをまとわせようとしたようだ。奇妙なことに、その主な対象者は小学生だ」としている。

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