9・11から20年、被告5人の公判はこう着状態 テロ計画で訴追

9・11のテロ計画で訴追された被告5人の公判は、現在もこう着状態が続いている/Bill Hennessy

9・11のテロ計画で訴追された被告5人の公判は、現在もこう着状態が続いている/Bill Hennessy

キューバ・グアンタナモ湾(CNN) 2001年9月11日に発生した米同時多発テロから20年を迎える前日の10日、テロの計画と実行で訴追された5人の被告に対する裁判のトライアル(事実審理)前の審問がキューバ・グアンタナモ湾の軍事法廷で開かれた。厳重に警戒された法廷で続く公判は9年目に突入している。

対面での審問は新型コロナウイルスの流行の影響で1年半ぶりに開かれた。同時多発テロで亡くなった3000人近い犠牲者の遺族に正義をもたらすはずの裁判は、関係者の入れ替わりと数十件にも及ぶ未処理の申し立てでこう着状態にある。

今週の審問では、被告側の弁護士が新たに担当することになった判事に対し、長年続く本件の争点に対する判事の経験や知識を問うのに時間を費やした。争点の中には拷問や死刑も含まれている。

今週最後の10日の審問では、被告らが00年代前半に中央情報局(CIA)の「ブラック・サイト」として知られる非公開の場所で拘束を受けた時期に関して、弁護士が米政府からどんな証拠が得られるかを議論した。これは数ある未処理の申し立ての一つとなっている。

5人の被告の中には、同時多発テロの首謀者とされるハリド・シェイク・モハメド被告もいる。5人は06年からグアンタナモ湾に収容されている。

被告らは12年のオバマ政権時代に罪状認否を行い、その後公判は何年も続いている。数十もの未処理の申し立てがあるほかに、検察側、弁護側ともに人の入れ替わりがあった。裁判を進める判事も今回新たに担当する空軍判事のマシュー・マコール大佐で4人目だ。

新顔の裁判官

今週大きな論点となったのは、マコール氏が本件を担当すべきかどうかだ。これまでに検察、弁護側の双方が同氏が適任かについて疑問を呈している。

マコール氏は当初、昨年10月に本件担当の指名を受けたが、検察側が軍事委員会の裁判を進めるのに必要な2年間の経験がないとの理由で反対した。マコール氏はそれを受けて、自分が原因で裁判がさらに長引くような事態を避けたいとして本件を忌避した。マコール氏が今週の公判でこれを明らかにした。

だが軍はその後、今年8月に入って再びマコール氏を担当判事に指名した。判事として2年間の経験を積んだというのがその理由だ。米政府を代表する検察も、被告を代表する弁護側も、マコール氏の本件の争点に関する経験と知識に疑念を抱いている。

本件は軍事委員会の案件のため、軍が判事を指名し、軍のメンバーが判事になる。判事は与えられた役職で一定期間その職務に服する。

被告5人は全員が死刑となる可能性があり、また全員が厳しい拷問を受けてきた。

モハメド被告の弁護士は8日、「拷問の影響は法廷でいつも残っている」「毎日対処しなければいけないものだ」と語った。

弁護士らによると、被告5人はCIAによる拘束中に拷問を受けた影響で、さまざまな健康上の問題があるという。

マコール氏は拷問に関する案件を扱った経験はないと明かす一方、軍の性的暴行事案でトラウマを負った人に関与した経験はあると述べた。

マコール氏はまた、本件を取り巻くさまざまな論点を熟知している様子を示していない。同氏はオバマ政権下で公表された議会の9・11委員会報告書や上院情報特別委員会がCIAによる拘束と尋問を調査した報告書を読んでいないと述べた。死刑の法的な歴史についても知らず、この秋にコースを受講するという。

マコール氏は本件の数千ページに及ぶ法的文書の全てには目を通していないとも述べた。

被告の一人、ラムジ・ビン・アルシブ被告の弁護士は、マコール氏が本件の裁判を進めるなら道は2つあると指摘。判事としてこう着状態の訴訟をトライアルへと進め、犠牲者遺族に正義をもたらす存在となるか、目の前で行き詰まるのを目撃するかだと述べた。

弁護士がマコール氏にそれを認識しているかと問うと、同氏は神妙にうなずいて静かに「了解です」と答えた。

証拠に関する議論がまだ続く

弁護士側は3人がマコール氏の訴訟指揮に反対し、1人は反対せず、1人は保留した。検察側は反対しなかった。

その後、マコール氏は未処理の申し立ての一つに関する議論を開始させた。被告らがブラック・サイトとして知られる場所での拘束時に受けた尋問に関して、弁護側が政府からどの程度詳細な情報を受け取れるかについてだ。

ワリド・ムハンマド・サリ・ムバラク・ビンアタッシュ被告の弁護士は「あなたが数日間続けて天井からつるされたら、あなたは何が起きたのかわからない」と発言。被告が拘束時に受けた拷問に言及した。

トライアル前の審問に入って9年目にして、弁護士がどんな証拠を得られるかをまだ議論しているという現状は、本件が終結から程遠い状況を示している。そして、9・11の犠牲者遺族に正義をもたらすという目的達成への道のりもまだ長いことを物語っている。

アリ・アブドゥル・アジズ・アリ被告の弁護士は「トライアルの予想をするのはもうやめた。いままで何度予測しても外してきたからだ。2年以内にトライアルに入る現実的なシナリオはない」と述べた。同弁護士は12年から本件を担当している。

9・11の犠牲者遺族は軍事法廷の後方にある傍聴席から今週開かれた3回の審問を見守った。メディアや他の傍聴人とはブルーのカーテンで仕切られていた。

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