最後の米軍機がアフガン発つ、米国の最長の戦いに終幕

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
アフガンからの米軍撤退の完了を宣言する米中央軍のマッケンジー司令官/CNN

アフガンからの米軍撤退の完了を宣言する米中央軍のマッケンジー司令官/CNN

20年近い年月

30日の撤退により、この20年近い年月で初めてアフガニスタンから米軍がいなくなった。2兆ドルが支出され、約2000人の米兵が死亡した。今回の撤退は戦争の有用性への疑問も投げかける。戦争には親子2代で参加した人々もいる。

20年近く前、米国は2001年9月11日の米同時多発テロの報復でアフガニスタンに進攻し、国際テロ組織アルカイダとタリバン政権を攻撃した。そして、そのときとは別の米政権は今、アルカイダや他のテロ組織と緊密な関係をいまだに維持するタリバンが支配する同国を去ろうとしている。

アフガニスタンは今後、バイデン氏に政治的な影を落とし、軍事面でも関与が続くだろう。ホワイトハウス関係者は、カブール空港で起きた米兵13人の死亡した爆発事件について、バイデン氏が報復に手段を選ぶなと軍幹部に命じたと述べ、テロリストの追跡を続ける大統領の意向を明らかにした。

アフガニスタンに残る米国人も政権の新たな責任となるだろう。国務省高官によると、出国を望むもののアフガニスタンに残留している米国人は250人未満と見られている。

この当局者は「まだ少数の人が残っていると思う。正確な人数を把握しようと努めている」「出国者の名簿を精査し、電話やテキストメッセージ、ワッツアップ、電子メールで我々のリストに当たっている」と述べた。

統合参謀部のハンク・テイラー地域作戦担当副部長(大将)によると、30日午前までの24時間でC―17輸送機26機が1200人の避難民を乗せてカブールを離れた。カブール空港を出発した機体は全部で28機だという。

同じ時間帯には、米軍の無人機攻撃で子どもを含む複数の市民が死亡し、カブール空港がロケット砲で狙われた。軍関係者は退避作戦に向けられた進行中の具体的な脅威があるとして警告を続けた。

継続する脅威

30日朝の時点で、カービー報道官は空港への攻撃の可能性を問われると、継続する脅威は「現実的で進行中であり、多くの場合で具体的」だと述べた。テイラー氏は、軍の活動はカブールにいる米軍の安全確保に引き続き注力し、最後の最後までアフガニスタン人を退避させる能力はあると述べた。

軍事的な撤退とともに、米国のすべての外交代表も引き揚げた。米国が今後、タリバンを公式にアフガニスタンの統治者として認めるかどうかは、依然答えの出ていない問題だ。

国務省当局者によると、アフガニスタン国内には米国人が残っている。そのうち一部は出国を望んでおらず、または実際には既に出国している可能性のある人もいるという。さらに、米軍に協力し、タリバンから報復される危機に直面するアフガニスタン人も残留している。

悲惨にも終えることのできなかったこの取り組みは、任期1年目の後半を迎えるバイデン政権にとって、より大きな政治的課題となるとみられる。米南部にハリケーンが来襲し、新型コロナウイルスの再流行が勢いを増す中、アフガニスタン撤退の説明を要求されることになる。

人々の空輸作戦は偶発的に急ごしらえの取り組みとして始まったように見える。先週には13人の兵士が死亡した爆発事件があった。米軍や米外交官に協力したアフガニスタン人通訳者で出国できなかった人々には死刑宣告の危険が迫っている。さらに、アフガニスタン発のテロの脅威に実際に対応が行われているのかどうか、及びその方法に関する疑念は、バイデン氏の撤退という決断に影を投げかけている。

バイデン氏は既に、一部の分野でアフガニスタンへの米国の関与を延長する姿勢を示している。ホワイトハウスのサキ報道官も、「米兵の死への代償を過激派組織イラク・シリア・イスラム国(ISIS)に負わせるのに手段を選ぶべきではないと軍幹部に明確に示した」と述べた。

空港へ向かっていた自動車爆弾と見られる車両を狙った、米軍による29日の無人機攻撃では、子ども6人を含む1家族9人が亡くなった。犠牲者の親族がCNNと働く地元記者にそう伝えた。中央軍は市民の犠牲者が出た可能性を評価中だとしている。

米軍駐留が終わりに近づく中、ブリンケン氏は各国の閣僚級の会合を主催し、アフガニスタンに駐留する同盟国や他の同盟国とバーチャル会議を開いた。

ニューヨークでは国連安全保障理事会が開かれ、カブール空港からアフガニスタンを出国する人々の「安全な通行」を求める決議を採択した。当局者によると、安保理はアフガニスタン人や外国人の安全な脱出をタリバンに依存する形となっている。

「人道危機」のニュース

Video

Photo

注目ニュース

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]