グーグル親会社CEOのピチャイ氏、パソコン持たずに育った

グーグルのCEOになりたいと求めたことはない ピチャイ氏

ニューヨーク(CNN Business) スンダー・ピチャイ氏は今や、誰もが認めるシリコンバレーの最強の実力者のひとりだ。

米グーグルの共同創業者ラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏は先ごろ、ピチャイ氏がグーグル最高経営責任者(CEO)の役割に加え、親会社アルファベットのCEOを引き継ぐと発表。書簡で「ピチャイ氏はグーグルの経営責任を担うほか、アルファベットによるアザーベッツ(その他の事業)への投資も統括する」と明らかにした。

この人事により、生まれ育ったインドの質素な環境から、世界有数の市場価値と影響力を誇るグーグルで昇進を重ねてきたピチャイ氏の人生の成功は確実なものとなった。

ピチャイ氏はインド南部チェンナイで育った。当時は電話もほとんど利用できず、コンピューターやインターネットとは無縁だった。しかしピチャイ氏にテクノロジーの力を教えたのは、まさにこうした環境だった。

家族は5年間待った末に電話を導入。すると、近所の住民が電話を借りに来るようになった。

ピチャイ氏は昨年行われたCNNの単独インタビューで「電話はみんなの共用物になった。近所の人が子どもに電話をかけに来た」「私にとってテクノロジーの可能性を示す出来事だった」と振り返る。

渡米するまで自分のコンピューターを持っておらず、スタンフォード大学には奨学金で通った。もっとも、その後の活躍は誰もが知るとおりだ。

スタンフォード大で工学の修士課程を修了した後、ペンシルベニア大ウォートン校で経営学修士号(MBA)を取得した。

半導体製造装置大手アプライド・マテリアルズとコンサルティング大手マッキンゼーでの勤務を経て、2004年にグーグルに入社。同社ではブラウザー「クローム」の責任者やプロダクトチーフ、基本ソフト(OS)「アンドロイド」部門のトップなどを歴任し、15年にCEOに就任した。

ピチャイ氏はアメリカンドリームはまだ生きていると思うかとの質問に、今でも米国は「チャンスの地だ」と答える一方、「そうあり続けるためには、我々は懸命に努力を重ねる必要があると思う」と語る。

成否のカギは移民に成功への道を保証することだ。ピチャイ氏は連邦議会に「ドリーマー」(幼少期に親と米国に不法入国した若者)の保護を求めるとともに、高い技術を持った移民を擁護してきた。

「IT業界を見れば、トップ企業の多くは移民によって設立された」「私たちがIT分野で主導権を握っているのは、最良のコンピューター科学者や人工知能(AI)の研究者を引きつけることができているためだ。これを続けていくことが重要だと思う」(ピチャイ氏)

子どもがコードを書く様子を見守るピチャイ氏/Nick Oxford for CNN
子どもがコードを書く様子を見守るピチャイ氏/Nick Oxford for CNN

グーグルのCEOとなることは「一生に一度のチャンス」だった。だがそれは自分から求めたものではなく、創業者のペイジ氏とブリン氏から声を掛けられ驚いたという。「私は製品作りで忙しかった。どうなってしまうのか全く予想もつかなかった」

ピチャイ氏はグーグルCEOとして、ユーザーのプライバシーに関する懸念、社内におけるジェンダーや多様性の問題、社員の抗議行動など、深刻な課題に直面してきた。連邦議会でプライバシーに関する証言を行ったほか、今後も引き続き反トラスト調査への対応を迫られる見通しだ。

「テクノロジーが社会に与える影響の大きさを踏まえれば、CEOの責務は『最高倫理責任者』になることだ」「私はこの点を自分の基本的な役割とみなしている。ただ、倫理面は組織のあらゆる層で考える必要があると思っている」(ピチャイ氏)

データプライバシーに関する懸念が強まるなか、グーグルでは、ユーザーが個人情報の提供を最小限に抑えるとともに、データをコントロールしやすくする方策を模索中だ。例えば、位置情報やブラウザーの閲覧履歴をユーザーが自動削除できる仕組みを発表した。

「ユーザーがデータの扱われ方についてよくわかっているとは思わない」「我々はその負担のかなりの部分をユーザーに課していた」とピチャイ氏は語る。

ピチャイ氏は様々な社内の課題にも直面している/Justin Sullivan/Getty Images
ピチャイ氏は様々な社内の課題にも直面している/Justin Sullivan/Getty Images

社内の課題への取り組みも進めている。昨年には、セクハラや差別を見て見ぬふりをする企業文化に抗議するとして、世界各地で社員がデモを実施した。

ピチャイ氏は、こうしたデモを通じてグーグルはより良い会社になったとの見方を示した。「会社がおかしいとき、従業員は明確に声を上げてくれた」「公に問題を認め、懸命に改善に取り組むことができるのは、我々の文化の良い部分だと思う」と語る。

この問題に対して同社が下した重要な決定のひとつは、強制仲裁条項の廃止だ。ただ、一部のデモ主催者からは、会社から報復されていると感じるとの声も聞かれる。

またグーグルは最近、データセキュリティーに関する社の方針に違反したとして、複数の「物言う社員」を解雇した。社員からは会社が批判を抑圧しているとの指摘も上がり、社員と経営陣の間で緊張が高まる現状が浮き彫りになった。

ピチャイ氏はCNNとのインタビューで「大規模な会社を経営する場合には、社内で報復が起きないようにすることが極めて重要だ。私はこの問題を非常に真剣に受け止めている」と語っている。

ピチャイ氏によれば、グーグルで学んだ最も重要な教訓は、他の人々の見方を知ることだ。

「内部で考えるだけでは不十分だ」「外部の見方を知り、何が起きるのかについてオープンな姿勢でいる。製品がもたらす影響を把握して、懸命に改善に取り組んでいくにはそれが必要だ」

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