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ポール・マッカートニー、ビートルマニアを生んだ盗まれたギターと50年ぶりに再会

伝説的なギターを演奏するポール・マッカートニーさん

伝説的なギターを演奏するポール・マッカートニーさん/Edward Wing/Hulton Archive/Getty Images

(CNN) 元ビートルズのメンバー、ポール・マッカートニーさんが50年以上ぶりに、かつて盗まれた伝説的なギターと再会を果たした。

ヘフナー製の特徴的なベースギターは、「ツイスト・アンド・シャウト」「ラヴ・ミー・ドゥ」など伝説的なヒット曲を収録したビートルズの最初のアルバム2枚のレコーディングで、マッカートニーさんが演奏していた。

その後はバックアップベースとして使用し、ビートルズの解散後も使い続けていたが、1972年、英ロンドンのノッティグヒルでバンの荷台から盗まれて行方が分からなくなった。

発見に至ったのは「ロスト・ベース・プロジェクト」のおかげだった。同プロジェクトを展開するヘフナー役員のニック・ワスさんと調査報道ジャーナリストのスコット・ジョーンズ、ナオミ・ジョーンズさん夫妻は、失われたギターを求めて100件以上の手がかりをたどり、英南部の海辺の町ヘイティングスにたどり着いた。

「ベース探しはポール・マッカートニーのためだけではない。全てのファンのためだった」。ワスさんは16日、CNNにそう語った。「ビートルマニアを生み出したベースをみんなに見せるためだった」

スコット・ジョーンズさんが15日にCNNに語ったところによると、捜索の話が広まり、際立った特徴が具体的に伝えられたことで、そのギターを持っていた一家が屋根裏部屋にあったベースの写真を見せて「これですか?」と名乗り出たという。

ギターはマッカートニーさんの手に戻り、60年代に愛用していたギターだったことが確認された。公式サイトに掲載した談話の中で、マッカートニーさんは「関係者全員に心から感謝している」とコメントしている。

ワスさんが16日、CNNに語ったところによれば、ロスト・ベース・プロジェクトは2018年、マッカートニーさん本人との会話をきっかけに立ち上げた。しかし「役に立つ情報が入ってくるようになった」のは、グラストンベリーでマッカートニーさんの公演を見たジョーンズ夫妻が捜索に加わってからだったという。

演奏するビートルズのメンバー(左からポール・マッカートニーさん、ジョージ・ハリスンさん、リンゴ・スターさん、ジョン・レノンさん)=1965年7月29日/Central Press/AFP/Getty Images
演奏するビートルズのメンバー(左からポール・マッカートニーさん、ジョージ・ハリスンさん、リンゴ・スターさん、ジョン・レノンさん)=1965年7月29日/Central Press/AFP/Getty Images

メディアを通じて情報提供を呼びかけた後の23年10月、決定的な突破口が開けた。情報を寄せたのは、ノッティングヒルのラドブローク・グローブ地区にバンを止めていたマッカートニーさんのサウンドエンジニア2人だった。マッカートニーさんは当時、この近くで新しいバンドのウイングスとアルバムのレコーディングを行っていた。

これでギターが盗まれた正確な時間と場所が突き止められ、1969年に行われたビートルズ最後のルーフトップ・コンサート直前に行方不明になったという説は否定された。

突き止められた場所は、2023年にワス氏に届いていた電子メールの内容とも一致していた。この情報は当初、「つじつまが合わない」として却下していたという。

ワスさんが詳しい情報を求めたところ、メールの送信者は、父親がベースを盗んで近くにあるアドミラル・ブレーク・パブの大家だったロナルド・ゲストさんの所に持ち込んだと打ち明けた。

一方、ナオミ・ジョーンズさんは記録を調べてこの住所を検証し、一連の話の筋が通っていることを確認した。

「この過程で集まった証拠から判断すると、泥棒は自分があの晩盗んだもののことを知らなかった」とスコット・ジョーンズさんは言う。「彼にとってはただのギターで、あとになってポール・マッカートニーのギターだと知ったのだろう」

泥棒は「自分のためにギターをうまく隠してほしい」とゲストさんに頼んだとジョーンズさんは推測。このパブに着目して出生や結婚、死亡の記録を調べ、「ベースがゲスト家のどこへ行ったのか」をたどっていった。

ギターはわずかに損傷していて演奏するためには多少の修理が必要な状態だが、専門家であれば修理は可能だとロスト・ベース・プロジェクトは説明する。

「このギターの価値は計り知れない」とワスさんは語り、「ある意味で、ポール・マッカートニーと世界中のビートルズファンを除けば価値はない。値段は付けられない」と話している。

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