対テロ警察がヒップホップトリオを捜査、物議の動画巡り 英

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北アイルランド出身のヒップホップトリオ、ニーキャップ/Michael Loccisano/Getty Images

北アイルランド出身のヒップホップトリオ、ニーキャップ/Michael Loccisano/Getty Images

ロンドン(CNN) 英国・北アイルランド出身のヒップホップトリオ、ニーキャップが、同国の対テロ警察から捜査を受けている。公開された動画の中でメンバーが政治家の殺害を呼びかけ、イスラム組織のハマスとヒズボラを鼓舞する言葉を叫んでいるとされる。

ニーキャップはイスラエルがガザで実施している戦闘行為を声高に批判。先月には米国の音楽フェスティバル「コーチェラ」で親パレスチナ、反イスラエルのメッセージを発信したことで反発を招いていた。

英国警察の捜査は、ニーキャップの疑惑の発言に対する広範な批判を受けて行われている。この発言により、ニーキャップは予定されていた複数の公演がキャンセルされた。一部の議員は、英国での野外音楽フェスティバル「グラストンベリー・フェスティバル」の主催者に対し、来月開催のイベントのラインナップからニーキャップを外すよう求めている。

一方、数十人のミュージシャンやアーティストが、ニーキャップの表現の自由を支持する公開書簡に署名している。

ここ数日、ニーキャップのメンバーの一人がハマスとヒズボラを鼓舞するフレーズを叫んでいるとみられる動画がインターネット上で拡散していた。動画は昨年11月のもの。また、2023年11月に撮影された別の動画には、メンバーの一人が「良いトーリー(保守党員)は、死んだトーリーだけだ。地元の国会議員を殺せ」と発言している様子が映っている。

英国では過去10年の間に、ジョー・コックス氏とデービッド・エイメス氏の国会議員2人が実際に殺害されている。

ニーキャップは、コックス氏とエイメス氏の遺族に謝罪。ハマスやヒズボラを支持したことは一度もないとし、オンライン上に拡散している動画については「意図的に文脈から切り離して」作成されたものであり、ガザ紛争におけるイスラエルと米国への批判を受けた「中傷キャンペーン」の一環だと述べた。

ロンドン警視庁は1日の声明で、この映像を認識しており、テロ対策担当官が捜査中であると明らかにした。両方の動画を専門の担当官に送った結果、動画の内容に関連する潜在的な犯罪について、さらなる捜査の根拠があるとの判断が下されたという。

デービッド・エイメス氏の娘のケイティー氏は法執行機関のとった措置を称賛し、「暴力と憎悪」を促す人々の責任を問うよう求めた。

その上で、社会が結束してあらゆる形態の過激主義に立ち向かわなくてはならないと指摘。芸術や文化の活動が憎悪のプロパガンダの発信に利用されてはならないと強調した。

一方でニーキャップを擁護する上記の公開書簡は、今回の措置をグループに対する「検閲であり、最終的にはプラットフォームから排除しようとする組織的な試みであることは明白」だと非難する。

「民主主義においては、いかなる政治家や政党も音楽フェスティバルで誰が演奏するか、数千人が楽しむライブで誰が演奏しないのかについて指図する権利を持つべきではない」と書簡は主張した。書簡にはパルプやポール・ウェラー、マッシヴ・アタックなどのミュージシャンが署名している。

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