イラン、自国代表チームの家族を脅迫か 大会セキュリティー担当の情報筋明かす

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イラン当局が代表選手らの家族に対して「投獄や拷問」の脅迫を行っているという/Morteza Nikoubazl/NurPhoto/Getty Images

イラン当局が代表選手らの家族に対して「投獄や拷問」の脅迫を行っているという/Morteza Nikoubazl/NurPhoto/Getty Images

(CNN) サッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会に出場するイラン代表チームの家族が、投獄や拷問の脅迫を受けていることが分かった。米国代表との試合を現地時間の29日に控え、選手らが「適切な行動」をとらない場合はそうした目に遭わせると告げられているという。大会のセキュリティーに関わる情報筋1人が明らかにした。

イランの選手らは21日に行われたイングランド代表との試合前、イラン国歌の斉唱を拒否していた。情報筋によると、これを受けて選手らは革命防衛隊(IRGC)との会合に呼び出され、国歌を歌わなければ家族が「暴行や拷問」の被害に遭うことになると告げられた。同国の体制に対するいかなる政治的抗議に加わった場合も同様だとした。

選手らは25日、グループステージ第2節のウェールズ戦の前には国歌を斉唱した。試合は2―0でイランが勝利した。

上記の情報筋は、イランの治安当局によるW杯期間中のカタールでの活動を注視。当局が事前にIRGCの要員数十人を徴集し、代表選手らの監視や情報収集に当たっていると明らかにした。選手らはチーム外で人と交流したり、外国人に会うのを禁じられている。

選手らとその家族への脅迫の後、代表チームを率いるポルトガル出身のカルロス・ケイロス監督もIRGCの要員らと個別に会談したと、この情報筋は述べた。会談の内容は明らかにしなかった。

ケイロス氏はこれまでイラン代表の選手らについて、W杯で抗議を行うことはできるとしつつ、あくまでも国際サッカー連盟(FIFA)の規定の範囲内においてだとの認識を示していた。

情報筋によるとイングランド戦に先駆け、選手らには「贈り物や車」が約束されていたものの、体制側はこれを選手及びその家族に対する脅迫に切り替えた。国歌を歌わないというチームの侮辱行為を受けての措置だと、この情報筋は主張する。

またウェールズ戦では数百人を動員してサポーターのふりをさせ、偽りの応援ムードやファンの間での好意的な雰囲気を作り出そうとしていたという。情報筋によると次の米国戦、体制側はそうした人員の数を数千人規模に拡大する計画を立てている。

イラン国内では、体制に抗議する大掛かりなデモが全土で繰り広げられている。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のトゥルク人権高等弁務官は、こうしたデモの鎮圧を通じ同国が「本格的な人権危機」の渦中に置かれているとの見解を示している。

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