「非現実的」とボツのパンデミック小説、コロナ禍受け出版

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一度ボツとなった作品が、今回の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、出版される運びとなった/Quercus

一度ボツとなった作品が、今回の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、出版される運びとなった/Quercus

(CNN) パンデミック(感染症の世界的な流行)に襲われた社会の悲惨さなどを描き、出版社が最初は「非常に非現実的」として突き返した小説が新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)で注目を浴び、このほど初めて刊行された。

この小説は英国スコットランドの作家、ピーター・メイ氏(68)が2005年に執筆した「Lockdown」。

物語の舞台はパンデミックの発生源となるロンドンで、当局が都市封鎖を迫られる過程などを描いた。現実味を帯びさせるため米英両国が02年から準備したとするパンデミックへの対応策に関する文書を参考にしたという。

メイ氏はCNNの取材に、科学者は当時、次の大きなパンデミックは鳥インフルエンザと予想していたと指摘。実際に起きる可能性があったため鳥インフルエンザを十分に勉強し、ロンドンでこのパンデミックが発生したらどうなるかとの題材を得たと振り返った。

シナリオライター出身のメイ氏によると、出版社は当時、極めて非現実的で不合理な内容として刊行を拒否。これを受けメイ氏は出版を後回しにし、最後にはこの小説を書いたことすら忘れていたという。

小説の内容を思い出したのはあるファンがツイッター上でメイ氏に新型コロナ流行を背景にした書物の執筆を促したのがきっかけだった。

既にその種の作品を書いていたことを思い出し、メイ氏を担当している編集者に相談。編集者はびっくりして作品を一晩かけて読み、翌朝に素晴らしいとたたえ、直ぐに出版する必要があると主張したという。

この本は現在、英国のアマゾンだけがキンドル版として販売している。ペーパーバック版や音声コンテンツ版は4月30日に売り出される予定。

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