睡眠中に窓から入る光で糖尿病のリスク増大か 中国研究

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睡眠中に窓から入る光で糖尿病のリスクが高まるとする研究が発表された/Adobe Stock

睡眠中に窓から入る光で糖尿病のリスクが高まるとする研究が発表された/Adobe Stock

(CNN) 睡眠中に窓から入ってくる街の明かりなどの光で、糖尿病のリスクが増大するとの研究結果が報告された。

中国の成人10万人近くを対象とした調査のデータを分析したところ、夜間に外から入る「光害」が最もひどい地域の住民は、光害が最小レベルの地域に住む人に比べ、糖尿病を発症する確率が28%高かった。

この論文は15日、糖尿病専門の医学誌に発表された。

研究チームによれば、18歳以上の糖尿病のうち900万件以上の症例は、光害が原因となった可能性がある。

街の光は都市だけでなく、数十キロ、数百キロ離れた郊外や森林公園にも影響を及ぼすという。

チームが使ったのは、中国で2010年、幅広い対象者に生活習慣や家族らの病歴を尋ね、採血したデータ。それぞれの対象者が住む地区の衛星画像を、このデータと比較した。

以前から睡眠中の光の影響を指摘していた米ノースウェスタン大学医学部のフィリス・ジー博士は、今回の研究で光が代謝機能や糖尿病リスクに及ぼす悪影響を確認できたと話す。

これまでの研究で、夜間の人工光は体重増加、肥満、代謝異常、血糖値を一定に保つホルモン「インスリン」の分泌、糖尿病に関係することが示されてきた。

ジー博士らが20代の健康な成人を実験室に宿泊させて調べた研究では、テレビのような弱い光を一晩浴びただけで血糖値や心拍数が上がっていた。夜間に血糖値が高いのはインスリンが作用しにくくなっていることを示し、将来糖尿病につながる

英チェスター大学のガレス・ナイ博士は、「糖尿病を防ぐのに健康的な睡眠は非常に重要だ」と強調。不規則な睡眠は糖尿病リスクの増大につながることが、過去の研究で分かっていると説明した。

ただし、糖尿病と夜の光害との間に直接の関係があるかどうかはまだ不明。都市部に住むこと自体が、すでに糖尿病のリスク要因となるからだ。都市の住民は脂肪分の高い食事や運動不足の影響で肥満のリスクが大きくなることが、長年知られてきた。

ナイ博士は夜の光を減らす作戦として、ベッドを窓から離し、遮光シェードを取り付けること、それでもだめならアイマスクを試してみることなどを勧めている。

ベッドルームでは刺激の強い青色光を避けて赤や茶色系の照明を使い、就寝の少なくとも2~3時間前から部屋を暗めにするのが望ましい。健康的な昼間の光を浴びることも重要だという。

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