「ヘラジカに車をなめさせないで」 カナダ当局が注意喚起
(CNN) 「ヘラジカに車をなめさせないで」――。カナダ西部アルバータ州の高山の町ジャスパーで、そんな注意を呼びかける道路標識が設置された。
野生のヘラジカにとって、車体に付着した塩は抗しがたい魅力があるという。ジャスパー国立公園の広報はCNNの取材に対し、「ヘラジカは体内のミネラルのために塩を必要とする」「普通は公園内の塩湖から摂取しているが、車体に飛び散った道路の塩からも摂取できることに気付いた」と説明する。
ジャスパー国立公園では、道路沿いに車を止めてヘラジカの写真を撮ろうとする人がいるが、実際には車に近寄って来るヘラジカは深刻な危険を生じさせる。
ジャスパー国立公園の道路を横切るヘラジカ/Parks Canada/Valerie Domaine
車体の塩をヘラジカになめさせれば、それが習慣になってヘラジカが車に近寄ってくるようになりかねない。そうなれば衝突事故が起きてヘラジカと人間の両方が危険にさらされる恐れがある。
「ヘラジカと車の相性は良くない。もしも車でヘラジカをはねれば、足をすくわれたヘラジカがフロントガラスを突き破るだろう」と広報担当者は述べ、ヘラジカの接近を防ぐ最善の方法は、近寄って来るのを見たら単純にその場を離れることだとアドバイスした。
さらに、ヘラジカなどの野生生物を見かけても車外には出ず、一切の接触を避ける必要があると指摘。特にヘラジカは、身の危険を感じれば突進してくることもあるといい、「このごろはヘラジカを見かけることが増えている。オオカミの頭数が減っているので、天敵が少なくなってヘラジカの頭数は増えている」と解説する。
同国立公園内では野生生物に餌を与えることなどが禁止されており、違反すれば2万5000ドル以下の罰金を命じられることもある。