完全まひ患者と意思の疎通を、医療科学の挑戦<2> 「まばたき」と「脳の操作」
(CNN) 脳は機能しているが、体が完全まひ状態に陥るロックト・イン(閉じ込め)症候群は、脳卒中、外傷性脳損傷、あるいは筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経系疾患が原因で発症する。
これまで一部の研究者らは、ロックト・イン状態の患者とのコミュニケーション手段として、患者の重症度に応じ、埋め込み型脳内チップか患者のまばたきを使ってきた。
2014年にボストンのノースイースタン大学の学生グループが、脳コンピューター・コミュニケーション装置を開発した。この装置では、ロックト・イン状態の患者が目だけを使って画面上のキーボードを操作し、メッセージを打ち込む。
患者がまばたきで画面上の特定の文字を選択し、それを繰り返すことにより文を作成する仕組みだ。しかし、この装置は一般人が購入したり、利用することはできない。
またロックト・イン状態の患者の中にはある程度目を動かせる患者もいるが、完全なロックト・イン状態の患者の場合は目を動かすことすら不可能だ。
こうした状況に対処しようと、ここ数年間にロックト・イン状態の患者向けの新たなコミュニケーションシステムがいくつか発表された。スイスにあるウィース・バイオ神経工学センターの研究者を務めるニールス・ビルバウマー氏らが最新の研究で実演した脳コンピューター・インターフェース(BCI)システムもその1つだ。
研究では、機能的な近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)により患者の脳内の血流と血中酸素濃度を測定し、さらに脳波記録(EEG)キャップで患者の脳の電気的活動を測定することにより、患者の思考を解読した。