ローマ帝国崩壊、原因はマラリア? 遺骨のDNAで原虫特定

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発症した数人については、蚊が媒介するマラリアの陽性反応が出たという

発症した数人については、蚊が媒介するマラリアの陽性反応が出たという

今回の発見以前にも、マラリアとみられる熱病の描写はヒポクラテスの「疫病について」やケルススの「医学論」といった歴史的な著作の中に見いだされてきた。ポイナー氏によれば、こうした熱病は1年の特定の時期に毎年繰り返し発生したと記述されているが、発熱を起こす感染症は多数あることから、マラリアと分類するには至っていなかったという。

今回調査対象となったのは現在のイタリアの域内にある3つの古代都市、ベリアとイゾラサクラ、バグナリの墓地。ベリアの墓地は紀元後1~2世紀のもので、イゾラサクラとバグナリにはそれぞれ同1~3世紀、同1~4世紀にさかのぼる墓地がある。

復元されたゲノムの半分以上は、ベリアとバグナリに埋葬された成人1人ずつの骨格から採取したDNAを使い構成された。イゾラサクラにある骨格からは寄生虫は検出されなかった。

マラリアがローマ帝国の崩壊を引き起こしたとの説は昔から人気がある。ただ、生物人類学者のクリスティーナ・キルグローブ氏によれば、こうした説を支持する直接のDNA上の証拠はないという。同氏は、マラリアが帝政末期のローマにおける人口変動と最終的に関係していたとしても、鉛中毒や寄生虫感染症、性病といった他の健康問題も調査することが重要だと指摘。そのうえで「ローマ帝国の『崩壊』に単一の原因は存在しないというのが大半の学者の共通見解だが、人口が減少する過程において疫病が一定の役割を果たしたのは確かだ」と述べた。

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