南ア企業、草地のガス生産権を1ドルで購入 発見したヘリウムは数十億ドル相当か

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ガスプロジェクトの掘削現場を捉えた空撮写真/Courtesy Renergen

ガスプロジェクトの掘削現場を捉えた空撮写真/Courtesy Renergen

最終的にバレンタイン氏は、最近の共著論文で示しているように、業界がLNGからヘリウムを生産するのではなく、窒素やヘリウムを産出するガス田などの供給源を利用するようになることを望んでいる。

高濃度のもう一つの利点は、生産コストが安いことだ。「我々は他のほとんどの企業よりもはるかに低コストでヘリウムを生産している」とマラニ氏は言う。「およそ305~457メートル規模の範囲で非常に浅い井戸を掘削する。低コストでフットプリントが小さく、ガスは自然に出てくる」と同氏は述べている。

アフリカの供給拠点

世界のヘリウム供給がたびたび途絶えることから、地理的に異なる地域での新規参入は大歓迎だとバレンタイン氏は述べている。「供給拠点が限られているため、我々は現在、供給危機に陥っている。レナジェンのような拠点は間違いなくそれを緩和してくれるだろう」

今のところアフリカでヘリウムの生産は行われていない。ヘリウムを豊富に含むガス田はタンザニアで発見されているが、まだ商業生産には至っていない。

マラニ氏によると、レナジェンのガス・プロジェクトは南アフリカ政府によって「戦略的統合プロジェクト」に指定されているため、規制当局による承認プロセスの迅速化に寄与しているという。

ミッチェル氏によると、同社の「第1期プロジェクト」は米国政府から資金提供を受けた小規模な試験的プロジェクトで、ヘリウムの生産量は1日当たり約350キログラム。これは南アフリカのすべての需要を満たすのに十分で、かつ余剰が出る量だという。「第2期プロジェクト」は27年に稼働開始予定で、米国政府と南アフリカのスタンダード銀行から融資を受けている。1日当たりの生産量は4.2トンに増加すると予想され、世界のヘリウム供給量の6~8%を生産することになる。市場調査を行うリサーチ・アンド・マーケッツによると、世界のヘリウム市場は27年に60億ドル以上の規模になると予測されており、大きな利益が生み出されるとされている。

野心的な予測にもかかわらず、レナジェンの株価は23年10~12月期に大幅に下落した。専門家らはCNNに対し、株価下落は同社の透明性に対するソーシャルメディア上での批判に関連している可能性があると述べている。だがマラニ氏は、レナジェンが「今後のプロジェクトのリスクを大幅に軽減するだけでなく、成果をもたらす」開発によって、投資家の疑念を払拭(ふっしょく)できると確信している。

レナジェンは昨年12月、バージニア・ガス・プロジェクトを所有・運営する同社の子会社テトラ4の株式の5.5%を、ヨハネスブルク拠点の投資管理会社マフラコ・エナジー・ファンドとサード・ウェイ・インベストメントの2社に5億5000万ランド(約43億円)で売却したと発表した。同社は米ナスダック市場での新規株式公開(IPO)を通じて、さらに資金を調達する計画だ。同社はすでに南アフリカとオーストラリアで上場している。

「信頼性を高めるには非常に長い時間がかかる。私はそれについて何の幻想も抱いていない」 「ヘリウム生産がそのプロセスの第一歩であると信じている」(マラニ氏)

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