ドイツ財務相、「欧州の病人」説を意に介さず コーヒー1杯が必要なだけ
ロンドン(CNN) リントナー独財務相は19日、ドイツは少し疲れていて「コーヒー1杯」を必要としているだけだと述べ、再び「欧州の病人」になりつつあるとの見方を意に介さない姿勢を示した。
欧州の成長を長年けん引してきたドイツ経済は昨年、0.3%縮小しており、欧州主要国で最も不調だった可能性が高い。一部のアナリストの間では、今年のゼロ成長を予想する声も出ている。
リントナー氏はスイスのダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、「ドイツは病人かもしれないと思っている人がいることは承知している。ドイツは病人ではない。短い夜の後で疲労した状態だ」と発言。
そのうえで「低成長の見通しで目が覚めた部分もある。いま我々は上質なコーヒーを1杯飲んでいるところだ」と説明した。
ドイツは「新たな構造改革の時代の始まりにある」との見方も示した。
経済停滞と失業率上昇に見舞われた1990年代後半、ドイツは「欧州の病人」と呼ばれるようになった。その後の労働市場改革により「病人」のあだ名を払拭(ふっしょく)し、2008年金融危機後の10年は経済ブームに沸いた。
ドイツ経済が縮小するのは新型コロナウイルス禍以降で初めて。15日の公式データによると、リセッション(景気後退)は何とか回避したものの、ドイツの低迷はユーロ圏全体の経済縮小リスクを増大させる。
ドイツ連邦統計局は国内総生産(GDP)の落ち込みの原因として、歴史的な物価高や高金利、ドイツ製品への内外需要の弱含みなど「複数の危機」を挙げている。
22年にはロシア産天然ガスへの依存度の高さが足を引っ張った。もともと上昇傾向だった欧州のエネルギー価格は、同年のウクライナ侵攻をきっかけに過去最高水準に上昇。続けて、ロシアは欧州へのガス供給を絞り始めた。
エネルギー危機はドイツ産業の広い範囲に直撃した。その後、天然ガス価格は下落し、ドイツはロシアに代わる新たな調達先を見つけたものの、エネルギー危機は長い影を落としている。