米欧の自由貿易交渉、事実上「決裂」 独副首相

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米国のオバマ大統領。TTIPの交渉成立を政権の遺産にしたい考えだという

米国のオバマ大統領。TTIPの交渉成立を政権の遺産にしたい考えだという

ただ、反対意見も多く欧州側ではTTIPやカナダの貿易協定交渉を中止させるため320万人以上が嘆願書に署名している。大規模な貿易交渉では協定草案などの内容が公表されないのが通常だが、TTIPへの反発はこの秘密性にも根差している。内部告発サイト「ウィキリークス」はTTIP文書の暴露に10万ユーロの報奨金も約束している。

欧州の労組や圧力団体はTTIPには事業が損害を受けた場合、政府を訴訟に持ち込めることが容易になる規定が盛り込まれているため米国大企業に多大な有利材料になるとの懸念も強い。反対派はまた、より多くの公共事業が民営化されるとし、教育や健康管理などの分野が影響を受けるとも危惧している。欧州委は協定交渉ではこれらの分野は対象になっていないと主張しているが、米国が進出を強く要求していることを示唆する交渉内容も暴露されている。

さらに協定は欧州側が維持している食料の安全管理規定や環境保護基準が弱められているとの不安も出ている。欧州によるこれらの規定は米国よりはるかに厳しいものもある。

TTIPについては米国内でも反対論が強まっている。大統領選の共和党候補である実業家ドナルド・トランプ氏は北米自由貿易協定(NAFTA)や環太平洋経済連携協定(TPP)などを含む自由貿易協定を再三批判。「米国のビジネスへの攻撃」とまで言い切っている。

民主党の大統領候補であるヒラリー・クリントン前国務長官は長官在任時代は自由貿易の擁護派だったが、最近は懸念を示している。

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