スリランカ経済は「完全に崩壊」 首相が議会で発言

ガスの購入に並ぶ人々=18日、スリランカ・コロンボ近郊 /NurPhoto/Getty Images

2022.06.24 Fri posted at 12:17 JST

スリランカ・コロンボ(CNN) スリランカのウィクラマシンハ首相は22日、同国の経済は「完全に崩壊した」と述べた。危機に見舞われている同国は燃料、電力、食料の不足で何百万人もの人々が苦しみ、ますます悲惨な状況になっている。

ウィクラマシンハ氏はスリランカ議会で「わが国の経済は完全に崩壊した」と述べ、経済を安定させるために世界のパートナー国や国際通貨基金(IMF)に支援を求めていると説明した。

しかしウィクラマシンハ氏は、人口2200万人を抱える島国である同国が物資不足以上に「はるかに深刻な事態に直面している」と警告した。

スリランカは過去70年間で最悪の金融危機の真っただ中にある。外貨準備高が記録的な低水準に落ち込み、食料や医薬品、燃料を含む必要不可欠な輸入品の支払いのためのドルが不足している。

政府はこの危機に対処するため、公務員を週4日勤務にして農作物を育てる時間を確保するなど、ここ数週間思い切った対策をとっている。しかし、こうした対策は、国民の多くが直面している苦境の緩和にはほとんど役立っていない。

スリランカの経済危機に対し抗議する人々=22日、スリランカのウィクラマシンハ首相の私邸付近

商業都市コロンボを含むいくつかの大都市では、何百人もの人々が燃料を買うために何時間も列に並び、時には警察や軍隊と衝突している。

電車は運行本数が減り、また燃料不足のため患者は病院へ行くことができず、食料の価格も高騰している。主食である米は多くの店やスーパーマーケットの棚から姿を消した。

警察によると、今週だけでも11人が燃料を求める列で死亡した。


燃料を買うために並ぶトゥクトゥク(三輪タクシー)と運転手=20日、スリランカ・コロンボ/Tharaka Basnayaka/NurPhoto/Getty Images

前首相のラジャパクサ氏が抗議デモによって辞任に追い込まれた数日後に就任したウィクラマシンハ氏は23日のコメントで、国の状況について前政権に責任を負わせるような発言をした。

「完全に崩壊した経済、特に外貨準備高が危険なほど少ない国を再生させるのは簡単なことではない。少なくとも最初に経済崩壊を遅らせるための措置が取られていれば、今日のような困難な状況に直面することはなかっただろう」と述べた。

スリランカ大統領事務局の入り口を妨害した抗議者の釈放を求める人々=20日、スリランカ・コロンボ

スリランカの電力・エネルギー相は先週、同国には5日分の燃料しかないと記者団に語った。

スリランカは、主に隣国インドに頼ってきた。すでに40億ドル(約5400億円)の融資枠を受け取っているが、それも十分ではないかもしれないとウィクラマシンハ氏は指摘。「我々はインドにさらなる融資を要請している。しかし、インドでさえ、このような支援を継続的に行うことはできないだろう」と述べた。

次のステップはIMFとの取引だという。「これが唯一の選択肢だ。この道を歩むしかない。我々の目的はIMFと話し合いを持ち、追加融資枠を得るための合意に達することだ」とウィクラマシンハ氏は説明した。

また、現在、世界銀行、アジア開発銀行、米国とIMFの支援を受けるまでの「暫定的な短期融資を確保する」ための話し合いを行っているという。

米財務省の代表が来週スリランカに到着する予定で、加えて「主要融資国」の中国と日本にも援助も求めることにしている。

ウィクラマシンハ氏は「IMFの太鼓判をもらえば、再び世界から信頼されるようになる。世界の国々から低利融資を受けられるようになるはずだ」と述べた。

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