(CNN) イタリアの古代都市ポンペイの遺跡から15年前に出土品を持ち帰ったカナダ人女性が、呪いによって相次ぐ不幸に見舞われたとして、このほど出土品を返還した。
出土品を返還したのはニコールさんという女性。白いモザイクタイル2枚とアンフォラ壺(つぼ)2点、セラミック壁1点の断片に手紙を添えて、ポンペイ考古学公園に送付した。
手紙の中でニコールさんは、「持ち去ってはならない歴史の一片を私は欲しいと思った」と記し、当時の自分は「若くて愚か」だったと振り返っている。
カナダに帰国したニコールさんは、2度にわたって乳がんを患い、2度の乳腺切除手術を受けた。家族も金銭トラブルに見舞われたという。
「私は大きな負のエネルギーを閉じ込めた歴史の一片を持ち去った」「人々が恐ろしい死に方をした。そして私はそうした破壊に関連したタイルを持ち去った」
ポンペイでは紀元79年に起きたベスビオ火山の噴火で、岩石や火山灰、有毒ガスが住民の上に降り注いだ。
「もうこの呪いを自分の家族や子どもたち、自分自身に受け継ぎたくありません」「どうか私の軽はずみな行動を許してください」とニコールさんはつづっている。
同公園の広報によると、これまでにもポンペイ遺跡を訪れた何百人もの観光客から、モザイクタイルやしっくいなどの盗まれた出土品が返還されているという。
返還された出土品に添えられた手紙には、持ち去った出土品は不運しかもたらさなかったと記されていた。
こうした手紙や返還された出土品は、ポンペイ考古学博物館に展示されている。