火星で雪、海王星でダイヤモンドの雨 惑星の気象を科学で予測

海王星にダイヤモンドの雨が降る(イメージ図)

2017.08.24 Thu posted at 13:45 JST

(CNN) 火星の赤い大地の上に降る雪や、青い海王星に降り注ぐダイヤモンドの雨――。そんな気象条件について予測する研究結果が、このほど相次いで科学誌ネイチャーに発表された。

火星の降雪は、米航空宇宙局(NASA)の無人探査機「フェニックス」が2009年、レーザー装置を使った大気と地表の相互作用を観測する取り組みの中でとらえていた。

フランスにある気象力学研究所の研究チームは、フェニックスの観測データとコンピューターによる数値モデリングを組み合わせて、火星の天候を予想した。

火星では、日中は雲の粒子が可視光線を吸収して大気を暖める。しかし夜になると、水や氷の雲ができる条件が整った地域で氷が降る。これは夜間のみ起きる現象で、暴風雪が何時間にもわたって吹き荒れることもあるという。

夜間に暴風が起きるのは、雲の中の水と氷の粒子が非常に効率よく赤外線を放出して周辺の大気を冷却させ、暖かい空気層の上に冷たい空気の層が形成されて、ここから対流が生まれて強風を発生させることによる。

ただ、フェニックスの観測時は、雪は地上に到達するまでに蒸発してしまい、地表に降り積もった雪は観測できなかった。「地表に積もる氷の量は、地球に比べるとずっと少ない。地域によっては、この氷は翌朝には瞬く間に昇華する。だから火星には雪男もいないしスキー場もない」と研究者は解説する。

火星の雪は地表に届く前に溶ける?

研究チームは火星の暴風雪の多様性について、さらに研究を進めたい意向。

一方、メタンの大気に覆われた青い惑星、天王星と海王星については、高い気圧が水素と炭素を融合させ、ダイヤモンドの雨が形成されるという仮説が以前から発表されていたが、このダイヤモンドの形成を実証する実験結果が今回初めて発表された。

研究チームは米スタンフォード大学のX線自由電子レーザー装置「LCLS」を使ってプラスチックで衝撃波を形成。2つの衝撃波を重ねると、プラスチックの炭素原子から「ナノダイヤモンド」と呼ばれる微小ダイヤモンド型構造が形成されることを実証した。

天王星と海王星で形成されるダイヤモンドは、実験室のダイヤモンドよりはるかに大きいと研究チームは推定。「恐らく球形をした固形のダイヤモンド原石が、成長を続けながら海王星と天王星の核に向かって降り注ぐ」と予想する。ただ、地球の雨ほど降下のスピードは速くなく、非常に濃く熱い液体の中を沈んで行くという。

降り注いだダイヤモンドは岩盤の核には浸透できず、核の周りに層を形成する。海王星に熱源がある理由はこれまで解明できていなかったが、ダイヤモンドの降下の重力エネルギーが熱に変換されて、海王星の熱源になっていると研究チームは推測している。

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