(CNN) ケニア北西部で人類の祖先が作った世界最古とみられる石器が発掘された。科学誌ネイチャーに発表された論文によれば約330万年前のもので、これまで最も古いとされてきた石器より70万年もさかのぼる。
論文の共著者であるストーニー・ブルック大学のジェーソン・ルイス助教授はCNNに対し、「考古学的記録(が残る時代)をほぼ3分の1も拡大した。1900年代の初めに携帯電話が見つかるようなものだ」と語った。
これまで現生人類と同じホモ属が作った最古の石器とされていたのはエチオピアで発掘された260万年前のものだった。
今回発掘された石器は、280万年前に出現したとされる最古の人類よりも大きく時代をさかのぼる。
これには2つの可能性が考えられる。
1つ目は、この時期の化石人骨として発見された「ルーシー」のような猿人が作った可能性だ。事実であれば、洗練された道具を作る能力があったのはヒト属だけではないということになる。
2つ目の可能性は、化石こそまだ見つかっていないものの、ヒト属は現在考えられているより早い時期に出現していたというものだ。
発掘されたなかには、刃物として使った剥片石器があったほか、石器の材料となった石や、石器を作る際に石を固定した台も見つかった。
「発掘された石器は260万年前のものと比べると大きい」と、論文の共著者であるストーニー・ブルック大学のソニア・ハーマンド准教授は指摘する。
ただ実際の石器の使用方法や、誰が使っていたのかについては分かっていない。
ハーマンド准教授は「そうした問いに答えるのは非常に難しい。私たちはまだ、これらの石器を調べ、必要な情報を得ようとする段階にいる」と述べた。