写真を撮ると記憶が薄れる?

2013.12.11 Wed posted at 14:36 JST

(CNN) 自分が見たものを写真に撮ると、その被写体についての記憶は薄れる傾向にある――。そんな研究結果が心理科学誌に掲載された。「カメラを取り出すと、自分が見ているものに注意を払わなくなり、実際にそこにいることよりも写真を撮ることの方が大切になる」と研究者は指摘している。

米フェアフィールド大学のリンダ・ヘンケル氏は、美術館で大学生に作品を鑑賞してもらい、写真撮影と記憶との関係を調べた。

1回目の実験では27人が絵画や彫刻、陶芸など30点の作品を鑑賞。一方のグループは作品名を声に出して読み上げ、20秒間鑑賞した後に写真を撮った。もう一方のグループは30秒間鑑賞しただけで写真は撮らなかった。

翌日、覚えている作品名を書き出してもらい、作品30点のリストの中から自分が見たものと写真に撮ったもの、見ていないものを選んでもらった。また、作品の細部についても質問した。

その結果、写真を撮ったグループは、鑑賞だけのグループに比べて覚えている作品が少ないことが判明。作品の細部についての記憶も鑑賞だけのグループより少なかった。

この結果についてヘンケル氏は、「カメラが覚えていてくれると思うと、記憶に残る被写体の数が減り、その被写体の細部についての記憶も減る」と解説する。

2回目の実験では46人がそれぞれの作品を25秒ずつ鑑賞し、指定された作品については時間を延長して写真を撮った。一部の被験者には、作品の特定部分を拡大したズーム写真を撮ってもらった。

翌日、記憶をテストした結果、1回目と同様に、写真を撮った被写体については記憶が薄れる傾向があった。ただ、ズーム写真を撮影した場合は、その部分だけでなく作品全体について記憶が残っていることが判明。作品を鑑賞しただけの場合と、ズーム写真を撮った場合では、記憶の正確さは同程度だった。

もっとも今回の実験の被験者は数が少なく、女性が中心だった。この結果を裏付けるためには被験者を増やし、男女比や年齢なども調整する必要がある。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。