フライト中断の旅客機、パイロットが与圧ミスに気付かず 英当局調査

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機内が与圧されないトラブルにより昨年フライトを中断したTUIエアウェイズの旅客機/Nicolas Economou/NurPhoto/Getty Images

機内が与圧されないトラブルにより昨年フライトを中断したTUIエアウェイズの旅客機/Nicolas Economou/NurPhoto/Getty Images

(CNN) 英国を出発したTUIエアウェイズの旅客機が昨年、フライトを中断して引き返した問題で、航空当局の調査の結果、技術的ミスが原因で機内が与圧されていなかったことが判明した。

問題の機体は英マンチェスターからギリシャのコス島に向かっていたTUIエアウェイズのボーイング737―8K5型機。公式報告書によると、搭乗者193人は「低酸素症のリスクにさらされていた」ことが明らかになった。

同機が昨年10月17日、イングランド東部リンカンシャー州の上空を飛行していたところ、客室与圧異常警報システムが作動した。

マンチェスターに引き返した同機に負傷者は出なかったものの、英航空事故調査局(AAIB)の報告書では、搭乗者は酸素濃度低下の危険にさらされていた可能性が高いと指摘されている。

調査の結果、機内の与圧を制御する「抽気スイッチ」について、離陸前に行われた空調システムのメンテナンス作業中にオフにされていたことが判明した。このミスはフライト前の安全点検で乗員に見過ごされていた。

パイロットも離陸前後の点検で見過ごしに気づかなかったという。

ミス判明後にパイロットがスイッチを元の位置に戻したものの、報告書によると、乗員は緊急対応ハンドブックに記載された酸素マスク着用などの対応を取らなかった。

報告書からは、パイロットはスイッチをオンに戻しただけで十分で、それ以外の措置を取るのは「不釣り合い」だと考えていたことがうかがえる。

スイッチが元の位置に戻された後、機体は上昇を続けたが、警報は43分間にわたって鳴り続け、マンチェスター空港のメンテナンスチームに相談する対応が取られた。その後、機長がマンチェスターに引き返す決断を下した。

低酸素脳症は脳から酸素が奪われた状態を指し、航空機の高度が高くなりすぎたり、客室の与圧が失われたりする場合に起きる。一酸化炭素中毒や、火災の煙を吸い込みすぎた結果発生する場合もある。

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