太平洋の海水温・海面、世界平均上回る速度で上昇 国連事務総長「海があふれている」
最も脆弱な人々
太平洋諸島は他の地域よりも大きな打撃を受けており、海水温の上昇、海面の上昇、酸性化という「三重苦」に見舞われている。これらは生態系を損ない、農作物に被害を与え、新鮮な水源を汚染し、生活手段を破壊している。
悪化する洪水と熱帯暴風雨は、すでに太平洋諸島を荒廃させている。報告書によると、2023年には主に暴風雨または洪水に関連する「水文気象災害」が34件発生し、同地域で200人以上が死亡、2500万人が影響を受けた。
太平洋諸島の汚染物質の排出量は世界の排出量の0.02%を占めるにすぎないが、グテーレス氏は「特に危険にさらされている」と述べた。
「この地域の海抜は平均1~2メートルで、住民の約90%が海岸から5キロ以内に住み、インフラの半分が海から500メートル以内にある」(グテーレス氏)
報告書によれば、世界が産業革命以前の水準より3度上昇すると太平洋諸島では50年までに少なくともさらに15センチの海面上昇が予想され、沿岸では年間30日以上の洪水が発生する。
報告書は「気候の『転換点』と氷床のダイナミクスに関する新たな研究により、科学者の間では将来の海面上昇がこれまで考えられていたよりもはるかに大きく、早く起こる可能性があるという警戒感が高まっている」と述べている。