豪州、海軍戦力の増強を発表 第2次大戦以降で最大規模へ

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アデレード級フリゲートの「ダーウィン」/IMAGO/piemags/Reuters

アデレード級フリゲートの「ダーウィン」/IMAGO/piemags/Reuters

(CNN) オーストラリア政府は29日までに、自国海軍の増強を図るため今後10年余で350億米ドル(約5兆2500億円)以上を費やし、第2次世界大戦以降では最大規模の海上戦力を整える計画を明らかにした。

軍事専門家らはインド太平洋地域で強まる中国の軍事進出などを踏まえた措置とみている。豪州政府の声明によると、この計画が進めば同国海軍が擁する主要な水上艦艇は計26隻に拡大する。

駆逐艦やフリゲート艦が20隻、無人艇のように乗組員なしでも操舵(そうだ)可能な仕様にできる大型水上艦(LOSV)の6隻を盛り込んでいる。これら水上艦船は、米英豪の安全保障協力の枠組み「AUKUS(オーカス)」の下で調達予定の原子力潜水艦艦隊の戦力に加わることになる。原潜の最初の3隻は今後10年の早い時期に引き渡される予定。

増強計画が達成された場合、2040年代半ばには現在保持するホバート級の誘導ミサイル駆逐艦3隻、新たなハンター級フリゲート艦が6隻、多目的な用途に応じられるフリゲート艦が11隻にLOSVが6隻の陣容となる。

ホバート級駆逐艦については対潜攻撃能力などを高め、フリゲート艦11隻は対空能力や護衛任務の作戦に振り向けるとした。さらにより小型の艦艇25隻が沖合で巡視任務などを遂行するとした。

政府はこれら海軍戦力の近代化を進める緊急性に言及し、新たに調達するフリゲート艦11隻の最初の分について日本、韓国、ドイツやスペインから得た現行の設計案に基づくものになるだろうとも述べた。豪州国内の造船所が建造を手がけるともした。

今回の海軍増強計画は米海軍の退役大将が主導した委員会による独立的な戦力見直しの検討作業を受けたものとされる。声明は、同委は豪州が世界の海軍史上で最も旧式の戦力を抱えているとの結論を下したと述べた。

海軍増強計画では中国への具体的な言及はなかったものの、同委は水上艦隊は将来的に豪州北部の海域での巡視など必要不可欠な活動を支援する能力確保が必要になっていると指摘した。

豪州ニューサウスウェールズ大学キャンベラ分校の海軍問題の研究員は今回の計画について、政府や国防当局が豪州が直面する戦略的な環境への懸念を物語っていると分析。地元のABCテレビとの会見で、20年代の後半に中国が南シナ海や北東アジアで軍事侵略的な活動を強め、インド太平洋地域はリスクが高じる時期に入るとの指摘が多く出ているとも述べた。

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