ANALYSIS

ハマスはいかにして兵器を入手しているのか? 工夫と機略、他国の指南役の組み合わせ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
武器を手にするハマスの軍事部門「カッサム旅団」の戦闘員ら=2017年1月撮影/Said Khatib/AFP/Getty Images/FILE

武器を手にするハマスの軍事部門「カッサム旅団」の戦闘員ら=2017年1月撮影/Said Khatib/AFP/Getty Images/FILE

(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスが先週末に遂行した残虐な攻撃には数千発のロケット弾とミサイル、爆発物を投下するドローン(無人機)が使用された。小型の武器や弾薬は数え切れないほどの数に上る。

ただ攻撃の起点となったガザ地区は地中海に面した広さ360平方キロの細長い区域で、一方はイスラエル、もう一方はエジプトと接している。

そこは貧しい人口密集区域で、資源はほとんどない。

しかもハマスが支配権を握って以降の17年近くは、世界からほぼ完全に切り離された状態にある。この間イスラエルとエジプトが厳重に地区を包囲し、現在もそれを継続しているからだ。

イスラエルは空路と海上の封鎖も維持し、大規模な監視態勢を敷いている。

ここで疑問が浮かぶ。一体ハマスはどうやってあれだけの量の武器をかき集め、連動した攻撃を成功させることができたのか? 攻撃によりイスラエルでは1200人以上が死亡、数千人が負傷した。同国を狙った一連のロケット攻撃も続いている。

専門家によれば、答えは一つではない。狡猾(こうかつ)さと臨機応変な対応、粘り強さの組み合わせであり、そこに重要な他国の後援者の存在も加わるという。

イランという因子

「ハマスは密輸や現地での製造を通じて武器を手に入れている。またイランから一定の軍事支援を受けてもいる」。米中央情報局(CIA)の年次刊行物「ワールド・ファクトブック」はそう指摘する。

イスラエル、米国両政府は、現在のところ先週末の攻撃でイランが直接的な役割を果たしたとは見なしていないが、専門家によれば同国は長年にわたりハマスへの軍事的な支援国であり続けている。武器は密かに掘られたトンネルや、地中海の封鎖をかいくぐった船舶を通じてガザ地区に持ち込まれる。

米シンクタンク、中東研究所(MEI)の上級研究員で国防安全保障プログラムを統括するビラル・サーブ氏は、「イスラエルとエジプトが定期的に機能を低下させているにもかかわらず、ハマスのトンネルインフラの規模は依然として巨大だ」との見解を示す。

また戦略国際問題研究所(CSIS)の多国籍脅威プロジェクトに携わるダニエル・バイマン上級研究員によると、ハマスがイランからトンネル経由で受け取る武器には、しばしば長距離システムが含まれる。さらに海上からより先進的な弾道ミサイルも輸送されていると、MEIのチャールズ・リスター上級研究員は明かす。これらは部品の状態で持ち込まれ、ガザ地区内で組み立てるという。

「イランはハマスによる現地での製造も支援している。これはハマス独自での武器の確保を可能にする」(バイマン氏)

レバノンを拠点とするハマスの幹部、アリ・バラカ氏は、組織内の兵器製造についてロシアトゥデーのアラビア語ニュースチャンネルとのインタビューで詳述した。編集済みのインタビューの内容は8日、同チャンネルのウェブサイトに掲載された。

それによると、ハマスは現地の工場であらゆる兵器を製造している。ロケット弾は射程が10キロ、80キロ、160キロ、250キロのものまで多岐にわたる。迫撃砲とその砲弾、カラシニコフ(自動小銃)とその銃弾のための工場もある。後者の銃弾は、ロシア側の許可を取って製造しているという。これらの武器がガザ地区内で生産されていると、バラカ氏は述べた。

「Analysis」のニュース

Video

Photo

注目ニュース

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]