ローマ教皇、気候変動の懐疑論を一喝 西側の「無責任な」生活様式も糾弾

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フランシスコ教皇=9月30日、バチカン/Remo Casilli/Reuters

フランシスコ教皇=9月30日、バチカン/Remo Casilli/Reuters

(CNN) ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は4日、加速する気候危機についてこれまでで最も強力な内容の声明を発表した。巨大産業や世界の指導者らに原因の一端があると糾弾したほか、西側諸国の「無責任な」生活様式にも非難の矛先を向けた。

教皇は7000語からなる使徒的勧告「ラウダーテ・デウム」の中で 「我々が十分な対応を取らずにいる間に、我々の住む世界は崩壊しつつある。もう限界点に近いかもしれない」と警告。「気候危機の影響の一部は、既に取り返しのつかないところまで来ている」とし、世界的な海水温の上昇、海洋酸性化、酸素量の減少などに言及した。

その上で、気候変動を否定する見方を厳しく批判。変動の兆候は一段と明確になっているとし、近年の異常気象にそれが表れていると指摘した。

気候変動は悪化の一途をたどる公算が大きく、それを無視することは異常気象の発生頻度を高める結果をもたらすとも述べた。

さらに現状について、富裕国がより多くの責任を負っているとの見方を示唆。米国の国民1人当たりの温室効果ガス排出量は中国の約2倍、最も貧しい国々の約7倍に相当するとし、西側諸国のモデルとつながる無責任な生活様式が変化すれば、長期的に著しい影響が生じるだろうと語った。

各国の指導者や企業に対しては、気候対策の実施よりも短期的な利益を優先していると非難した。さらにカトリック教会内部でさえも、問題を軽視する合理性に欠けた意見を耳にすると明らかにした。

今回の使徒的勧告は、第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)が11月の終わりにドバイで開かれるのに先駆けて発表された。

本記事での教皇の声明の名称を当初「回勅(最高位の教皇文書)」として公開しましたが、「使徒的勧告」に修正しました。

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