学校に卵、企業に嫌がらせ電話 日本が被る中国からの猛反発 処理水放出巡り

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日本から輸入した魚介類の販売を一時停止することを伝える北京の日本料理店の看板/Pedro Pardo/AFP/Getty Images

日本から輸入した魚介類の販売を一時停止することを伝える北京の日本料理店の看板/Pedro Pardo/AFP/Getty Images

東京(CNN) 東京電力が24日に福島第一原発の処理水の海洋放出を始めたことを受け、ネットを通じた大量の嫌がらせ、憎悪に満ちた言葉が日本人に浴びせられている。これにより日本と中国の緊張関係は急激に高まり、日本政府が中国の駐日大使を呼び出す事態になっている。

処理水の海洋放出開始後、検閲の厳しい中国のインターネットは怒りの声を爆発させた。

ソーシャルメディアに投稿された複数の動画は、中国人が日本の企業や施設に電話をかけ、「なぜ核で汚染された水を海洋に流すのか?」などと叫ぶ様子を捉えている。

動画下のコメント欄では、大勢のユーザーが対象となる電話番号を共有。互いにかけるよう呼び掛けており、「自分もかけた」などの書き込みが確認できる。

福島市の木幡浩市長は26日、市役所だけでそのような嫌がらせの電話が2日間におよそ200件かかってきたと明らかにした。市内の多くの小中学校、飲食店、宿泊施設などにも同様の電話がかかってきたという。

木幡氏がフェイスブックに投稿したところによると、電話の多くは中国の国番号である86から始まり、中国語で話されていたという。同氏は原発事故の痛手だけでなく、その後の影響も福島を苦しめているとし、日本政府に対して可能な限り早く状況を把握した上で行動を起こしてほしいと求めた。

県内のある海産物市場には25日、中国の国番号で始まる電話番号から数十件の電話がかかってきた。NHKが報じた。

外務省は28日、中国大使を嫌がらせ電話の件で呼び出したと説明。こうした事案について「極めて遺憾であり、憂慮している」と述べた。

同省は中国政府に対し、適切な措置を直ちに講じ、状況がエスカレートするのを防ぐよう強く要請。処理水放出についての不正確な情報が拡散するのを回避するよう求めた。

標的にされているのは日本国内の企業だけではない。中国国内の日本の施設も嫌がらせを受けていると外務省は指摘する。その上で、中国政府は中国国内に暮らす日本国民や日本の外交官の安全を確保しなくてはならないとの見解を示した。

処理水放出が始まった24日には、山東省青島にある日本人学校の敷地内に石が投げ込まれた。NHKが報じた。翌日には、複数の卵が江蘇省蘇州にある日本人学校に投げつけられた。

NHKによると、どちらの事案でも子どもたちに危害はなかった。当該の学校はその後警備を強化しているという。

報道では加害者を特定しておらず、福島を巡る懸念が動機かどうかも言及していない。

それでもこれらの件は、中国に暮らす日本人の間に恐怖と不安を引き起こしている。

処理水放出が始まった24日、中国の日本大使館は同国在住の日本人に向けて、公の場にいる時は日本語を大声で話さないよう警告を発した。さらに自らの言動にも注意を払うよう呼び掛けた。

同大使館では警備を強化し、建物周辺に配備する人員を増やしたとNHKは報じた。

しかしながら、中国の反応はそれほど同情的なものではない。

28日、在日中国大使館は声明を発表し、処理水の放出を改めて非難。日本政府が人類と海洋の環境に対して予測不能な危害をもたらしていると糾弾した。一方で中国側が誤った情報を広めているとの見方は否定し、中国にも日本から嫌がらせの電話が寄せられていると主張した。

日本大使館の声明と同様、中国大使館も日本政府に対し、日本国内に住む中国人の安全確保を求めた。

中国がどのような措置を講じて嫌がらせに対処するかとの問いに対し、中国外務省の報道官は、「中国は常に、国内の外国人の安全及び法的利益を法律に従って守っている」と回答した。

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