ウクライナ軍、地雷原突破で熱探知カメラを駆使 ドローン搭載も

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熱探知カメラを積むドローン(無人機)の操縦者/Alex Chan Tsz Yuk/SOPA Images/LightRocket/Getty Images

熱探知カメラを積むドローン(無人機)の操縦者/Alex Chan Tsz Yuk/SOPA Images/LightRocket/Getty Images

(CNN) ウクライナ軍の反転攻勢の進展を阻むとされるロシア軍がばらまいた数千規模の地雷対策として、ウクライナ軍が地雷を突き止める赤外線画像を活用する実験的な技術を投入して、突破を図る戦術を展開している。

ロシア軍の地雷でウクライナ軍は多くの兵士を既に失っている。前線展開のウクライナ軍の取材を許されたCNNは、熱探知カメラを積むドローン(無人機)が日暮れ時に飛ばされていることを確認。ロシア側の地雷原の上空に浮かんだカメラは、数十規模の熱源を探り出していた。このドローンは市販もされている種類の物だった。

熱源の一部は爆弾などで出来た穴に由来していたが、多くは地表の下に潜んでいる地雷のものだった。日中時に輝く太陽が原因だった熱源は日没になってもまだ消えず、熱探知カメラには明瞭に残っていた。

ウクライナ軍の前線部隊はこのカメラを備えるドローンを再三利用している。値段は1機約5000ドル(約72万5000円)と比較的安価となっている。

だが、地雷の探知任務は過酷だ。ウクライナ側の公式の推定数字によると、地雷が拡散する広さ18万平方キロの土地に1平方メートルあたり最多で5個の機雷がしばしば埋められるなどしているという。

中南部ザポリージャ州にあり、激しい攻防が起きているロボティネ村近く。第15国家
警備隊はCNNの取材に、ドローンなどを駆使して地雷の一部を見つけ出す方途は効果的だと認めた。CNNに提供された画像を見ると、地雷を処理し、少なくとも一部の土地への進入に伴う危険性を排除した様子がうかがえた。

北大西洋条約機構(NATO)加盟国はここ数カ月間、反攻を手助けする兵器などをウクライナへ大量に提供しているが、ドローンなどを使った地雷処理は比較的、ハイテクとは言えない創意工夫を生かした新たな手法となっている。

ロボティネ村近くの前線に張るドローン班は、展開する場所の周辺は地雷だらけであることをCNNに証言した。第15国家警備隊の隊員は、並木がある場所に入った際、53個までの偽装爆弾を見つけたとも説明。手榴弾(しゅりゅうだん)1個だけではなく、複数の手榴弾を積み重ねるような仕掛けを施していたという。

別の隊員は、前線での(地雷処理などの)任務はつらい感情を伴うとも打ち明けた。「こわさを覚える多くの瞬間がある。任務に就くたびに恐怖心を踏み越えることになる。ほかに誰がこんな作業をやるだろうか。誰もいない」とし、「ほかの誰かを送り出して、彼に何かかが起きたら、自分を許すことが出来ないだろう」と続けた。

英国に拠点があり、地雷対策に取り組む団体「ヘイロー・トラスト」の報道担当者によると、熱源を探し出して処理する方法は同団体の地雷除去の専門家たちがアフリカ・アンゴロで導入し、一応の成果を確認したともいう。地雷の熱源は夜明けや夕暮れ時にはっきり見えるとし、外部気温との温度差の反映が原因とした。

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