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台湾総統、米軍訓練教官の存在を認める 中国の脅威は「日々」増大

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人民大会堂で演説する中国の習近平国家主席=10月9日/Shen Hong/Xinhua/Sipa

人民大会堂で演説する中国の習近平国家主席=10月9日/Shen Hong/Xinhua/Sipa

「米国は我々の防衛に来る」

米国と地域のパートナー国との間に、有事の際の台湾支援を保証をする条約は存在しない。それでも、中台間の緊張関係が高まりを見せる中、いくつかの国々が台湾への支持を表明している。

日本の岸信夫防衛相は9月中旬のCNNのインタビューで、「台湾で起こることは直接的な問題として考えている」と述べ、日本政府がこの地域を通過する貿易ルートの安全保障上の脅威に対応する考えを示した。

バイデン米大統領は先週CNNが開いた対話集会で、中国が侵攻してきた場合に米国は台湾を守るかとの質問に断固とした姿勢を示した。

バイデン氏は「我々はそれを行う約束がある」と発言した。だが、その後ホワイトハウスはバイデン氏の発言からトーンダウンした内容を発信している。蔡総統はこの点、米大統領の真意について人によって「異なる解釈」があるとの考えを示した。

蔡総統はもし台湾が中国から侵攻を受けた場合、「我々の長期にわたる米国との関係を前提にすれば」米国や他の地域の民主主義国家が支援に来るだろうと信じていると述べた。

「台湾は民主主義国家であり、孤立していない。我々は自由を尊重し、平和を愛する。そしてこの地域の大半の国々と価値観を共有し、地理的にも戦略的重要性を有している」と発言。世界の半導体のサプライチェーン(供給網)における台湾の主導的な役割や、台湾の安全維持に地域の大国が「共通の利益」を有している点を指摘した。

台湾が軍事的支援を受けずに防衛可能かとの質問には、台湾が「できるだけ長期間」自らを防衛するものの、「我々の友人や同じ考えを持つ国々からの支援を得られることが重要だということを改めて強調させてもらいたい」と答えた。

台湾の防衛は軍事力だけの話ではない。米国は台湾への支持を強める一環で、国際機関への台湾の参画拡大を強く推進し始め、特に国連で後押ししている。

ブリンケン米国務長官は25日にツイッターで、台湾は「非常に重要なパートナーであり、民主主義のサクセスストーリーだ」と述べ、国連での役割拡大を求めた。国連の台湾の議席を1971年に取って代わった中国政府は、その後台湾を国際社会の舞台の大部分から締め出すことに成功している。

蔡総統によると、国連での役割拡大は台湾政界で党派を問わずに掲げられる方針となっている。それが中国を怒らせても気にしないと蔡氏は語る。

「我々は国連システムの一員になりたいとの希望を表明してきた。中国には自分の主張がある。あとは国際社会が判断することだ」(蔡総統)

「習政権の中国は『より野心的』」

蔡政権の登場時期は中国政府が主張を強める姿勢を鮮明にしてきた時期と重なる。習主席はこの数十年で最も強力な中国の指導者と考えられている。

習主席は2017年以降の2期目で、世界での中国の立ち位置を変化させ始めた。中国軍は規模の拡大や近代化を進め、海軍の艦隊は規模の点で米軍を追い抜いた。

今週に入り習主席は会議で、軍が兵器開発で「新たな境地を切り開く」必要があると発言した。

同時に習政権の外交政策の目標設定は、「戦狼外交」として知られる猛烈に国家主義を追求する外交官が昇進する状況をもたらした。こうした外交官は、論争が激しく交わされる微妙な問題で声高らかに中国の姿勢を擁護する人物を指す。そうした動きの中、台湾は中国政府の中で最も越えてはならない一線に当たるとよく言われている。

蔡総統はより力を増す隣国からの脅威を認識していて、「(彼らは)より野心的になり、より拡張論を唱えるようになってきている。従って、以前は受け入れ可能だったものが今は受け入れられない可能性がある」と述べた。

それでも蔡総統は、両者に政治制度の違いがあっても、両政府が平和的に共存できる道はまだあると信じている。

「もし我々が席に着いて、我々の違いについて話し合い、平和的な共存のための準備に向けて行動できたならどうだろうか。私はそれこそが台湾、中国、そしてこの地域の人々の期待であると思う」(蔡総統)

蔡総統は、中国共産党がこの地域や世界の他の地域とどういう関係を構築したいのかを決める時期が迫っていると語る。

「習氏は地域や世界の人々と平和的な関係を築きたいのか、それとも全員が彼や中国の言うことを聞くような支配的な地位を得たいのか」と蔡氏は指摘する。

中国国内の民主主義に対する希望も蔡氏は捨ててはいない。ただ、習政権の下での情勢はより独裁的な運営色が濃くなっている。

蔡氏は「民主主義はときに混乱し、厄介で、対立する。それでも最後には統治の最良の方法を見つけ出し、人々が平和に共存できるような社会秩序を確立する最良の方法を見いだす」と語る。

法律上、蔡総統は2期までしか務められない。24年1月までの残り2年半の任期で、やるべきことはたくさんある。

優先項目には台湾の世界との連携を強め、他国政府による分断の試みに負けないように台湾社会を強化することが含まれる。

蔡氏は自分が人々をより「団結させた」指導者として記憶に残れたらと語る。

「この場所を守り、この場所をより安全で回復力の強いものにすることに最大限努力した人物として記憶されたらと思う」(蔡氏)

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