アフガンで暮らす最後のユダヤ人、女性や子どもなど30人連れて脱出

ゼブロン・シメントフさん。2009年8月29日にカブールの自宅で撮影/David Goldman/AP

ゼブロン・シメントフさん。2009年8月29日にカブールの自宅で撮影/David Goldman/AP

(CNN) アフガニスタンに存在したユダヤ人コミュニティーの最後の一人とされる男性が、女性と子ども28人を含む30人を引き連れ、同国から脱出した。5日間にわたる脱出劇のミッションを担ったグループが明らかにした。

60代前半のゼブロン・シメントフさんは、一部の資金を海外からの寄付に頼りつつ、首都カブール唯一のシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)を維持しながら、そこで暮らしてきた。地元の有名人であるシメントフさんは、イスラム主義勢力タリバンによる1996年から2001年までの前回の統治時代を含む、戦乱と政治的混乱が続いた数十年を生き抜いてきた。

今回の脱出劇を計画した、イスラエルと米国の国籍を持つ実業家で慈善家のモティ・カハナさんによると、シメントフさん他30人の人々は、同国の山岳地帯をワゴン車で移動し、いくつものタリバンの検問所を切り抜けて「近隣の国」に入国した。

シメントフさんが数十人の子どもたちをアフガニスタンに置き去りにするのを拒否したことで、彼らの救出につながったとカハナさんは話す。

非営利団体「アメリカン・イスラエリ・コオペラティブ・エンタープライズ」によれば、歴史的な証拠が示唆するところでは、アフガニスタンにはかつて相当数のユダヤ人コミュニティーが存在した。19世紀半ばにはその数が4万人に達したが、反ユダヤ的な措置が取られた1870年前後に減少し始めた。それでも残り続けていたユダヤ人たちの大半は、1948年のイスラエル建国、そして79年のソ連侵攻を受けて国を去ったという。

アフガニスタンで暮らすユダヤ人コミュニティーの最後の一人という立場により、シメントフさんはここ数十年の間、幅広いメディアの注目を浴びてきた。妻や子どもたちがイスラエルに移住した後でさえ、かたくなに出国を拒否したシメントフさんについて詳述する報道も数多くあった。

2010年に行われたCNNとのインタビューでシメントフさんは、タリバンとの過去について語り、タリバンがいかに「皆の私事に介入してきた」かを説明していた。またタリバンによる前回の統治時代中、シメントフさんは4回にわたって逮捕され、拘束下で殴打されたとも話している。

カハナさんによると、先日の米国の撤収とその後のタリバンの復権に伴う危機的状況にあっても、シメントフさんは当初、自宅を離れることを拒否していた。だが近所の隣人らが彼に、たとえタリバンがやってこなくても、過激派組織イラク・シリア・イスラム国(ISIS)の分派組織「イスラム国ホラサン州」の戦闘員がみせしめにするので安全ではないと説得。人々はシメントフさんについてうわさしており、殺されることになるだろうと、隣人らがシメントフさんに話していたという。

カハナさんによれば、シメントフさんが「近所で銃撃戦をさらに耳にするようになった時、米国人が去り、飛行場が閉鎖された時」になって、ついに譲歩するに至った。

当初の計画では、カハナさんの警備チームがシメントフさん他18人を連れて出国する予定だった。だがカハナさんらが到着した際、シメントフさんの周囲には100人前後の人々が集まっていた。

結局シメントフさん他、ほぼ全員が女性や子どもたちから成る30人のみが出発を認められた。

カハナさんの話によると、アフガニスタンから出国する道のりは「恐ろしく、また危険」なものだった。長い旅路では、床に寝たり、タリバンの検問所を通過したりすることがあった。

最初に到着した国境検問所では、31人がまとめて入国することは出来ず、一度に3人までしか越境が許されなかった。シメントフさんはグループがバラバラになるとして拒否。さらに14時間かけて次の検問所に車を走らせなければならなかった。

カハナさんはグループと連絡が取れなくなり、不安にさいなまれる24時間を過ごした。だが8日夜になって、とうとうシメントフさんの一団が安全な場所に到着した。

カハナさんは彼らの安全のため、到着した国について明かすことを差し控えている。

シメントフさんについてカハナさんは、「彼は出国することで近所の子どもたちを助ける機会を見つけた。とどまり続けることはあまりにも危険だった」「子どもたちを一緒に連れ出すことで助け出したのだ」と語った。

さてアフガニスタン唯一のシナゴーグはどうなるのだろうか。シメントフさんの隣人らが建物を管理し続けると彼に言っていたと、カハナさんは話している。

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