ガザ停戦交渉、米当局者が詳細明かす イスラエル首相に苦言も
(CNN) イスラエルとイスラム組織ハマスとの間で続いているパレスチナ自治区ガザ地区での停戦と人質解放をめぐる交渉で、9割は合意に達しているものの、人質と受刑者との交換やイスラエル軍のガザでの駐留といった一部で依然として対立が残っていることがわかった。米政府高官が明らかにした。
米国はカタールとエジプトとともに約1年にわたる紛争を終結すべく協議を仲介している。ガザで人質6人の遺体が見つかったことで、交渉の必要性が改めて浮き彫りになった。
高官は、交渉の重要な細部について、これまでで最も詳細に説明した。米政府の報道官は、公の場では交渉は行わないとしている。イスラエルのネタニヤフ首相は、交渉合意を受け入れる可能性について疑問を投げかけているが、米国はネタニヤフ氏が「橋渡し提案」を受け入れたと主張している。
高官によれば、合意自体は「フィラデルフィア回廊」として知られるガザとエジプトの間の緩衝地帯の長さについて言及していない。ネタニヤフ氏は今週行われた記者会見で、フィラデルフィア回廊を永続的に支配下に置くことがイスラエルの安全保障にとって不可欠だと主張していた。
高官は、こうしたネタニヤフ氏のフィラデルフィア回廊をめぐる発言は建設的ではないと指摘。「私の見方では、特定の問題について発言するのは少ないほうがいい。交渉の最中に具体的な立場を主張することは、必ずしも有益であるとは限らない」
高官によれば、協議されている合意の第1段階ではイスラエル軍は「人口密集地域」から撤退することになっている。
第2段階で、イスラエル軍はガザ全体から撤退することになる。
高官によれば、ハマスの人質6人が死亡したことで、現在進行中の交渉に影響が出ており、ハマスが合意に達する意欲があるのか疑念が生じている。
ハマスは今週に入り、人質を拘束している戦闘員に対して、イスラエル軍が接近してきた場合、人質を殺害するよう「新たな指示」を出したと明らかにした。
それでも米当局者は、18項目からなる提案をまとめるための協議が人質の解放を確実にするための最善の機会だと考えている。
高官によれば、18項目のうち四つを除き、協議が終了して合意に達した。
現在も協議が続いているのは基本的に受刑者の交換とイスラエル軍の配置に関するものだという。
現在話し合いが続いている取引では最初の段階で、イスラエルが収容しているパレスチナ人の受刑者約800人を解放する。この中には終身刑の受刑者も含まれる。また、女性や高齢者、負傷者、病人など約30人の人質が解放される見通し。
合意の第1段階が実行されれば、即座に開始される重要な支援もある。
合意の一環として、1日あたり600台の支援物資を運ぶトラックがガザに入ることが許されるようになる。このうちの50台は燃料を搬送する。がれきを除去するための設備やガザ地区内の避難民を支援するための物資なども3段階に分かれた合意の第1段階に含まれる。
残りの溝を埋めるための協議は進められているものの、対面による交渉がいつ再開されるかは不明。直近の交渉は先週、終了していた。