凍結解除した60億ドルの利用、イランに当面認めず 米国とカタールが「内々に合意」
(CNN) イランが拘束していた米国人5人の解放取引の一環で凍結が解除され、カタールの口座に送金されたイランの資金60億ドル(約9000億円)について、米国とカタールが、イスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃後に、イランに当面の間利用を認めないと「内々に合意」していたことがわかった。アディエモ米財務次官が12日に民主党の下院議員に説明したと、会合に同席した情報筋が明らかにした。
先週末のハマスによる攻撃後、民主、共和両党の議員から資金の凍結を求める声が上がっていた。
当局はイランと今回の攻撃を直接結び付ける証拠をまだ見つけていない。ただ、イランはテロ組織であるハマスを長年支援しており、広い意味ではハマスに加担している状況にある。
凍結解除された資金は既に利用に厳しい制約が課されていたため、今回の「内々の合意」は象徴的な意味合いにとどまるように見える。イランはこの資金を特定の人道目的の商取引にしか利用できないと定められており、取引の承認には米政府の厳しい審査が必要で、資金の利用まで数カ月はかかると予想されていた。
イスラエルのテルアビブを訪問中のブリンケン米国務長官は12日の記者会見で、凍結解除された資金がこれまで「イランによっていかなる方法でも使われたことはない」と言及。「内々の合意」の存在は認めなかったものの、米国は依然資金を凍結する権利があると述べた。
米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報担当調整官も合意について踏み込んだ発言は避けたが、「まだカタールの銀行に全額ある」と述べた。
CNNは11日、米当局はイランの高官が7日のハマスの攻撃に驚いた様子だったとの情報をつかんだと報じた。情報筋によれば、こうした情報から、イランが攻撃の計画や物的支援、承認に直接関与したとの見方には疑問符がつく状況にあるという。
ただ、この情報筋は米情報機関がイランの事前の関与について完全な結論には達していないとも強調。当局はイランの関与がなかったか検証を進めているという。