強硬派議員の主張、マッカーシー氏の譲歩 米下院議長選の行方

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米下院は6日昼まで休会、11回の投票も議長決まらず

(CNN) 3日に始まった米下院議長選は5日に11回目の投票を行ったが決着がついていない。下院を僅差(きんさ)で制した共和党では、ごく一部の議員が同党トップのマッカーシー院内総務の議長就任を阻む状況となっている。

反対する共和党議員は20人で、下院共和党の10%に満たない。保守強硬派の「ウルトラMAGA(米国を再び偉大に)」を掲げる議員連盟「フリーダム・コーカス」のメンバーの中でも半数以下だ。

こうした強硬派もその要求は一つではない。共和党のケン・バック議員(コロラド州選出)は「20人を分けて考える必要がある」と指摘する。

同氏によれば、その一部は「マッカーシー氏以外の人物に投票したい」という人々だ。過半数の獲得の上で取りこぼしが許されるのは4票だが、問題は「マッカーシー氏はありえない」と考えるグループの人数がそれよりも多いのかどうかだ。

他には規則を変えたいという議員や、政策面でこだわりを持つ議員がいる。「もし(共和党ナンバー2のスティーブ・)スカリス氏がこの3つのニーズを満たせたら、彼が前進して議長職に就ける」とバック氏は語る。

反対票を投じる議員の一人、ラルフ・ノーマン氏(サウスカロライナ州選出)は、マッカーシー氏が債務上限の引き上げより政府機関の閉鎖を優先することが譲れない一線だと主張する。これが示すのは予算審議が経済に影響を及ぼす危険な将来だ。

下院議場での争い自体が自分の求めていたものだと語る議員もいる。スコット・ペリー氏(ペンシルベニア州選出)は「我々は米国民にこのプロセスが機能していることを示している」と発言。ダン・ビショップ氏(ノースカロライナ州選出)も「これが機能している民主主義だと本当に思う。もし今のワシントンに不満なら、同じことをしていては満足できないと確信している」と語る。

マッカーシー氏は6日正午までの休会が決まった後、交渉は進んでいるが「期限」は設定していないと述べた。議長選までに意見の相違を解決すべきだったとの批判に対しては「解決しようと試みた」と答えた。

情報筋によれば、マッカーシー氏のグループと反対議員らの交渉は5日夜も続いた。大きな進展はあったものの、いくつかの点で議論が続いているという。週末には4人以上の議員がワシントンを離れることもあり、事態の行方は不透明だ。

議員の間ではしびれを切らす様子が見られ始めた。穏健派もマッカーシー氏が示す譲歩について、共和党による効果的な統治を困難にするといら立ちを隠せない。

マッカーシー氏の譲歩

マッカーシー氏は現職議長の解任採決を求められる人数を、これまで共和党の半数としていたところ、1人にまで引き下げる規則変更を提案することに同意した。以前、5人に引き下げる提案をしていたが、さらに譲歩した形だ。

マッカーシー氏はこれについて「問題ない」「私は弱い議長にはならない」と強気の姿勢を示した。

マッカーシー氏はまた、強力な権限を持つ下院規則委員会に、フリーダム・コーカスからより多くの議員が参加することを認めた。同委員会は本会議にかける議案を決定する。

同氏はさらに、反対議員が優先事項に挙げるいくつかの法案を採決にかけることにも同意した。これには委員の任期制限や国境保全の計画に関する提案が含まれる。

だが、こうした譲歩をしても反対議員の一部の支持を得られるだけで、他の議員が示す懸念には対応していない。

ある穏健派の共和党議員は5日、CNNの取材に、マッカーシー氏が示した多くの譲歩を快く思っていないと語った。議長の解任採決を要求できる人数を1人まで引き下げれば、債務上限や予算などの項目で統治がほとんど不可能になると懸念を示し「こうしたわずかな仲間は4票差しかない多数派の弱い議長を望んでいる。国民はこんな共和党を見たくはないだろうと懸念している」と語った。

議長が決まるまで下院のこう着状態は解けない。議長の選出には特定の人物に投票した議員の過半数の獲得が必要だ。棄権や特定の人物に投票しない「出席」の票がない場合、その票数は218となる。

共和党は222議席。マッカーシー氏が議長となるために失えるのは4票だけだ。

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