隣家の花に水やりの黒人牧師、警察が逮捕 ボディーカメラ映像公開 米アラバマ州
(CNN) 米アラバマ州中部のチルダーズバーグで、黒人牧師が隣家の花に水をやっていたところ、駆け付けた警察に逮捕されたと訴えている。牧師側の弁護士は「不合理で無責任かつ不法な」逮捕だったと強調した。
事件は今年5月に発生し、警官のボディーカメラの映像がこのほど公開された。この中で黒人牧師のマイケル・ジェニングスさんは警官に対し、隣人の留守中に頼まれて花に水をやっていると説明している。
この家で何をしていて、家の前にあるのは誰の車かと尋ねられたジェニングスさんは、隣人の車であると答え、自ら「ジェニングス牧師」と名乗り、自分は通りの向かい側に住んでいると説明。「隣人が留守の間に家の面倒を見て、花の面倒を見ています」と話していた。
しかし警官に身分証明書の提示を求められたジェニングスさんが拒むと、警官はおよそ1分半後、電話をかけようとしたジェニングスさんに手錠をかけた。
警官がその後、警察に通報した近所の住民と話をしたところ、この住民の女性はジェニングスさんについて「彼は花に水をやっていたのでしょう。多分、私の過ちです」と話した。
やがてジェニングスさんの妻が現れて、警官に夫の身分証明書を提示した。しかし警官は「一度逮捕してしまったからには、逮捕をなかったことにはできない」と告げた。
警察の6月1日の発表によると、ジェニングスさんは公務執行妨害の容疑で逮捕されたが、後にこの容疑は取り下げられた。
チルダーズバーグ警察のリチャード・マクレランド署長は事件について、不審車がこの住宅の前に止まっていて「通報者が知らない」人物がいるとの通報を受け、警察が出動したと説明。この家の住人は留守にしていると通報者は告げ、不審者が家の中にいるかもしれないと語ったという。
市側は30日、CNNへの電子メールで、通報電話の音声は事件に関する「重大な」情報を提供していると強調した。
ジェニングス牧師側の弁護士は先週、「警官たちが到着してから5分足らずの間にジェニングス牧師を逮捕したこと、そして牧師が最初に名乗ったのに身分を明らかにしなかったと主張することで履歴を書き換えようとしていたことが、この映像ではっきりした」と訴えた。
映像には、警官たちがジェニングス牧師の容疑について話し合う音声も収録されていた。「私たちは通報を受けて調べに来たのに、彼は自分の名前を、またはそれ以外のことを教えようとしない」「彼は持ち主に電話しようとしていると話したが、それでも彼の名が必要だ」と警官は話していた。
チルダーズバーグ警察のマクレランド署長は声明の中で、捜査の一環として通報の内容や警官のボディーカメラの映像を検証するとともに、関係した警官から事情を聴いたと説明。捜査の結果、この令状を退けるようチルダーズバーグ市の裁判官に勧告したと述べている。