米議事堂襲撃、13日の公聴会が導く7つのポイント
(CNN) 昨年1月6日に発生した米連邦議会議事堂襲撃事件を調査する下院の特別委員会は13日、今月2度目となる公聴会を開催した。今回詳細が明らかになったのは、当時のトランプ大統領周辺の人物らがどのような形で2020年の大統領選での敗北を同氏に告げていたかについてだ。
そうしたやり取りがあったにもかかわらずトランプ氏は聞く耳を持たず、自身の弁護士のルディ・ジュリアーニ氏とともに選挙が盗まれたとする虚偽の主張を信じ込むに至った。
今月2度目の公聴会の要点を以下にまとめる。
突然の証人欠席にも迅速に対応
委員会は12日、公聴会の証人としてトランプ氏の陣営の責任者だったビル・ステピエン氏本人が証言すると発表し、傍聴人らを驚かせた。しかしステピエン氏は13日午前、妻が産気づいたとして突如公聴会を欠席した。
この予定変更に委員会は戸惑ったものの、無難に対応した。ただ公聴会自体は45分の遅れを余儀なくされた。
議員らと委員会のスタッフは事前にステピエン氏個人による宣誓証言の動画を準備していた。公聴会でたっぷり流れたその動画の内容は、同氏とトランプ氏との会話に関する新たな詳細を明らかにするもので、大統領に対し、投票日の夜に早々と勝利宣言しないよう助言したことなどが含まれていた。
ある意味で、今回の結果から民主党議員の運営する委員会は、より大きな力を発揮して国民に向けたステピエン氏の証言内容をコントロールすることができた。ステピエン氏本人が公聴会に出席していれば、トランプ氏をいくらか擁護したり、委員会に対して何らかの反論を行った可能性もあった。しかし実際のところ委員会は、公聴会で再生する宣誓証言の動画を自分たちで選び取れたのであり、その内容をトランプ氏にとって最も不利になるものに絞り込んでいた。
長い宣誓証言
委員会はウィリアム・バー元司法長官の長い宣誓証言動画も再生した。その中でバー氏は、トランプ氏による不正選挙の主張がなぜ「偽り」なのかを詳細に説明。以後も自身が不正を確信するだけの事実が全く見つかっていない理由について詳述した。
そのうえで当時の心境を振り返り、「いささかがっくりさせられた」と発言。もし本当に不正選挙が行われたと信じているとしたら、トランプ氏の考えはすっかり現実離れしてしまっている、そう思ったからだと語った。
宣誓証言の動画はトランプ氏の長女のイバンカ氏やその夫のジャレッド・クシュナー氏のものも流されたが、こうしたトランプ氏周辺の人々が証言のため公聴会に出席することはなかった。流れた内容は委員会による抜粋だった。
不正を突き止めようとする動きがなかったわけではない。バー氏はトランプ氏に不正を否定する助言を行う数週間前、物議をかもすメモによって検察当局者らに対し、選挙犯罪の訴えを調査することを認めていた。票の承認が行われる前でのこうした動きを受け、当時は司法省の幹部の一人が辞任する事態も起きていた。バー氏は不正を探したものの、それを発見してはいなかった。
虚偽を暴く最高位の閣僚に
任期中はトランプ氏寄りの行動が目立つとして民主党議員らに叩かれていたバー氏だが、この2週間はさながらリベラル派の新たな英雄と化し、トランプ氏の20年大統領選にまつわる虚偽を盛んに暴露、糾弾している。
これまでのところ、民主党が運営する委員会の流した証言者の動画の再生時間は、バー氏の宣誓証言が最も長い。委員会は1年がかりの調査の一環として1000人を超える人々から聞き取りを行っている。今回の動画再生を受け、バー氏はトランプ政権の中で選挙結果の正当性を認める閣僚として最高位の人物となった。
13日の公聴会で、バー氏はトランプ氏が支持する不正選挙にまつわる複数の主張を取り上げ、否定した。具体的にはミシガン州デトロイトでの違法な「票の廃棄」、投票集計機メーカーのドミニオン・ボーティング・システムズが自社の集計機で行ったとされる全国規模の票の操作、その他の陰謀説だ。
バー氏は誰に促されるでもなく、映画「2000 MULES(仮訳:2000人の運び屋)」の批判にも踏み込んだ。同作品を制作した右派の活動家、ディネシュ・ドソウザ氏は重罪で有罪判決を受けた人物で、20年の大統領選が盗まれたものだと主張している。(13日の宣誓証言の中で、バー氏は映画を一笑に付し、証拠が「完全に欠如している」と述べた)
バー氏はトランプ氏の擁護する言説は「馬鹿げていて」「素人臭く」、「現実とかけ離れている」と指摘。こうした言い回しは、民主党議員のトップらがトランプ氏の選挙不正にまつわる主張について長く用いてきたものと酷似している。
一方で、バー氏は依然として強硬な保守派でもある。ほんの2~3週間前にはFOXニュースのインタビューに答え、トランプ氏とロシアの関係を巡る調査について、いくつか事実と異なる主張を展開していた。