FBI、イラク国籍の男を逮捕 ブッシュ元大統領の暗殺計画に関与の疑い
(CNN) 米オハイオ州コロンバスに住むイラク国籍の男が24日、ジョージ・W・ブッシュ元大統領の暗殺を企てた計画にかかわったとして、米連邦捜査局(FBI)に逮捕された。米司法省が同日発表した。
逮捕されたのはシハブ・アフメド・シハブ・シハブ容疑者(52)。ブッシュ元大統領殺害未遂に加担したとされる幇助(ほうじょ)容疑のほか、外国人を米国に不法入国させようとした疑いがもたれている。
司法省によると、シハブ容疑者は暗殺計画の一環として、イラク人4人を密入国させようとしたとされる。CNNが入手した裁判所の書面によれば、同容疑者は偵察のためブッシュ氏の自宅があるテキサス州ダラスへ車で出かけるなどしていた。
捜査の内容は、3月23日に提出されたシハブ容疑者の電話記録に対する捜索令状の請求書面で明らかになった。調べによると、シハブ容疑者は2020年9月に米国に入国。FBIは複数の情報提供者を通じて暗殺計画のことを知った。情報提供者の1人は、シハブ容疑者が昨年末から今年春にかけ、暗殺計画について話し合ったとされる内容を録音していた。
シハブ容疑者の弁護士にコメントを求めたが返答はなかった。
裁判所に提出された令状請求書面などの内容は、24日に公開された。それによると、シハブ容疑者は昨年11月、情報提供者とともにコロンバスからミシガン州デトロイトまで往復する間に交わした会話の中で、「彼らはブッシュ大統領の殺害を望んでいる。大勢のイラク人を殺害し、イラクという国を粉々にした責任は彼にあると感じているからだ」と語ったとされる。
逮捕状の請求書面によれば、シハブ容疑者は今年1月の会話の中で、自らを「カタールの指導部からの指示を待つ兵士」と自称。自分は海外を拠点とする「Al―Raed」という組織の一員だとしていた。Al―Raedは「雷」を意味する。
シハブ容疑者は情報提供者に対し、ブッシュ元大統領の暗殺を計画しているAl―Raedは過激派組織イラク・シリア・イスラム国(ISIS)とは無関係だと説明する一方で、ISISが暗殺を認め、協力してくれることを願うと語ったとされる。
2月にはシハブ容疑者と情報提供者がダラス市内のブッシュ氏の自宅がある地区を車で訪れ、シハブ容疑者は周辺の様子を動画で撮影した。2人はジョージ・W・ブッシュ・インスティテュートにも足を運び、シハブ容疑者は図書館やオフィスなどの動画を撮影していたとされる。
情報提供者は翌月、コロンバスでシハブ容疑者と会い、シハブ容疑者はこの情報提供者から渡された銃器や米国境警備隊の制服を調べた。銃器や制服はFBIが情報提供者に渡したものだった。
シハブ容疑者は4月、FBIの事情聴取に応じ、密入国ネットワークについて話し合っていたことを認めたとされる。ただ、「外国人の密入国計画における自分の役割に関して完全な真実は打ち明けなかった」と書面は記している。
関係者の密入国については昨年、FBIがシハブ容疑者をマークし続ける中で、同容疑者は関係者を米国に密入国させる計画をFBIの協力者に打ち明け、4万ドルあればメキシコ経由でこの人物を米国に密入国させられると説明。オハイオ州にあるスターバックスで2万ドルを提供する話がまとまり、クリスマスの4日前、同容疑者が1人でスターバックスに現れた。
FBIの協力者はこの会話の内容を録音し、シハブ容疑者に現金を渡した。
司法省によると、この接触はFBIの指示の下で調整が行われていた。
捜索令状の請求書面によると、シハブ容疑者はこの会話の中で、レバノンのイスラム武装組織「ヒズボラ」の関係者2人を含め、ほかにも米国に密入国させたい人物がいると話したとされる。
オハイオ州南部地区米連邦検察によれば、同容疑者の勾留審問は27日に開かれる。