「イントゥ・ザ・ワイルド」に登場のバス、遭難相次ぎヘリで撤去 米アラスカ州
(CNN) 米アラスカ州スタンピードトレイルでこのほど、映画化された書籍「イントゥ・ザ・ワイルド」で有名になった朽ちたバスが、ヘリコプターによって空から撤去される出来事があった。バスを目当てに荒野を訪れた観光客の遭難が相次いだことを受けた措置。
アラスカ州兵によると、「マジックバス」とも呼ばれるバスは18日午後、州兵のCH―47チヌークヘリで撤去された。
撤去の決定は公共の安全への懸念を踏まえて下したという。バスはアラスカ州ヒーリーに近い場所にあり、これを目当てに訪れた観光客がアラスカの荒野にさまよい込む危険性があった。
バスは当局が恒久的な置き場所を検討する間、安全に保管される予定。
朽ちたバスの近くでホバリングする州兵のヘリ「UH―60ブラックホーク」/Alaska Department of Natural Resources/Reuters
ジョン・クラカワー氏の本が1996年に出版されて以降、朽ちたバスは旅行者にとって一種の巡礼地となっていた。映画版は2007年に公開された。
同書は首都ワシントンの裕福な郊外で育った主人公の人生を描いたもの。1990年の大学卒業後、主人公は安楽な生活を捨て、友人にも家族にも告げず西へ向かう。
92年4月、主人公はヒッチハイクでアラスカ州に到着。数日後に打ち捨てられたバスを見つけると、そこで約3カ月暮らした後、文明世界に戻ることを決意する。
帰路に就こうとした主人公はテクラニカ川にたどり着くが、雨と雪解けの影響で増水していて、渡ることができない。
打ちひしがれた主人公はバスに戻り、1カ月ほど生き延びた末、92年8月に死亡する。
こうした主人公の足跡をたどろうと、世界中から旅行者が訪れたものの、多くは遭難して救助される結果となり、死者も出ていた。
昨年には、新婚の夫とバスを目指したベラルーシ出身の女性が、テクラニカ川を渡ろうとして死亡する事故も起きた。