音速の5倍で飛ぶエアフォースワン、2025年にも実現か

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米ジョージア州アトランタに拠点を置く航空宇宙企業ハーミアスが手掛ける極超音速機のイメージ図/Courtesy Hermeus
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米ジョージア州アトランタに拠点を置く航空宇宙企業ハーミアスが手掛ける極超音速機のイメージ図/Courtesy Hermeus

(CNN) 超音速の米大統領専用機「エアフォースワン」の試作機が早ければ2025年にも見られるかもしれない。

カリフォルニアの新興企業エキソソニックは現在、マッハ1.8のローブーム(低音響)超音速ツインジェット機の開発に取り組んでいる。このジェット機が米空軍の大統領・政府高官空輸管理局(PE)の目に留まった。

8月下旬、エキソソニックがエアフォースワンとしても使用可能な超音速政府高官専用機の開発契約をPEとの間で締結したとの発表がなされた。

同月には、ジョージア州アトランタに拠点を置く航空宇宙企業ハーミアスもPEから投資を受けたと報じられた。同社は定員20人の極超音速機の開発に取り組んでおり、実現すれば米ニューヨークと英ロンドンを約90分で結ぶ。

ハーミアスは、大統領・政府高官専用機群を支えるため、米空軍、PEと連携しながらマッハ5の極超音速機の開発を進めている。

一方、エキソソニックの70人乗りジェット機の航続距離は5000海里(約9260キロ)で、さらに低騒音化技術のおかげで、地上の住民に迷惑をかけることなく、陸地上空を音速の約2倍の速度で飛行可能だ。マッハ1.8は時速約2222キロに相当し、既存の飛行機と比べて飛行時間は半分で済む。

またエキソソニックは、米空軍と協力して同機の客室を改造し、必要な通信機器のセキュリティ対策を講じたり、米国の政府高官やゲストらが機内で仕事をしたり、休息を取るための高級家具も設置する。

ミリタリー・ドットコムによると、エアフォースワンの超音速試作機が2025年までに公開される可能性があるという。

エキソソニックの共同創業者兼最高経営責任者(CEO)のノリス・タイ氏も、2030年代半ばまでの超音速機の実用化を見込んでいることを認めた。

CNNトラベルは2019年に、英仏共同開発の超音速機「コンコルド」の2倍の速度で飛行する航空機の開発計画で注目を集めていたハーミアスを取り上げた。コンコルドは2003年10月に最後の大西洋横断飛行を行い、米ニューヨークから英ロンドンまで4時間未満で飛行した。

極超音速は、一般的にマッハ5以上の速度、または音速の5倍の速度とされている。ハーミアスは今年2月、同社がゼロから設計したマッハ5エンジンの試作機のテストに成功した。

ハーミアスの共同創業者で最高執行責任者(COO)のスカイラー・シュフォード氏は、CNNトラベルとのインタビューで、「われわれは、従来の飛行機よりも速く、安価な高速機の開発を目指している」とし、さらに「マッハ5エンジンの試作機をわずか9カ月間で開発し、開発コストも200万ドル(約2億1100万円)未満に抑えた」と述べた。

ハーミアスの創業メンバーの中には、米実業家イーロン・マスク氏の米民間宇宙開発企業スペースXや、米アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏が設立した航空宇宙企業ブルーオリジンの元従業員も含まれている。4人の創業者はいずれもジェネレーション・オービット社で極超音速ロケット機や米空軍実験機「Xプレーン」の開発に携わった経験を持つ。

米空軍との契約はエキソソニック、ハーミアスの両社にとって大きな飛躍と言えるが、英インペリアル・カレッジ・ロンドン航空学部のポール・ブルース上級講師は、ハーミアスのプロジェクトについて警鐘を鳴らした。

ブルース氏は「極超音速飛行の最大の課題は推進力」とし、スクラムジェットと呼ばれる高度なエンジンを使って実験的に小型機を極超音速で飛ばした経験を踏まえ、旅客機の極超音速飛行の実現にはまだかなりの時間がかかると指摘した。

またブルース氏は、「さらに大きな問題は、開発資金や環境問題だろう。飛行機をそれだけの高速で飛ばすには膨大な量の燃料を燃やす必要があり、低速で飛行するよりもはるかに燃費は悪い。それでも超高速機の市場があるなら、われわれは間違いなく、そのような超高速の飛行機を開発するだろう」と述べた。

一方、ハーミアスのシュフォード氏はCNNとのインタビューで、大統領を極超音速で輸送することは、同社が全力を注ぐ目標ではないと強調した。

シュフォード氏は、マッハ5のエアフォースワンの可能性には非常に興味があるが、向こう数年間はPEの支援に注力するとした上で、「高速機の開発だけが目的ではない。われわれが目指しているのは、米国が高速飛行の分野のリーダーとして確固たる地位を築くことだ」と付け加えた。

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