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168億円相当の宝飾品盗む、5人に禁錮刑 独ドレスデン

大規模な盗難に遭った宝物館の展示ケース

大規模な盗難に遭った宝物館の展示ケース/Sebastian Kahnert/picture alliance/Getty Images

(CNN) ドイツ東部ドレスデンの宮殿内にある宝物館から1億2300万ドル(約168億円)相当の宝飾品を盗み出した罪に問われた5人の被告に禁錮刑が言い渡された。公共放送MDRが16日に報じた。この盗難事件はその大胆さから世界的な注目を集めていた。

被告のうち4人に対する量刑は比較的軽いものとなったが、これは事件について部分的に自白し、宝飾品の一部を返還したことによる。ドレスデン地方裁判所のアンドレアス・フェロン報道官がCNNに明らかにした。

6人目の被告は無罪となった。

当該の犯行グループは2019年11月25日、宮殿内の歴史ある宝物館「緑の円天井」に侵入。防犯カメラには覆面をした犯人2人がガラスをたたき割り、ダイヤモンドをあしらった宝飾品21個を盗み出す様子が映っている。

宝物館に収蔵されたコレクションは驚くべき内容で、歴史的価値を持つ宝石や貴重な装飾品が含まれる。具体的には水晶と瑪瑙(めのう)から削り出した微かなきらめきを放つ器や、宝石で飾った小像、金色のダチョウの卵をあしらったゴブレットなどだ。

中でも特に有名な「ドレスデン・グリーン」と呼ばれる41カラットのグリーンダイヤモンドは、米メトロポリタン美術館に貸し出されていて無事だった。

ザクセン州の警察が公開した防犯カメラの映像には、黒い服を着た2人の人物が懐中電灯を持って宝物館の中を素早く移動する様子が映っている。このうちの1人はおのを少なくとも9回振り下ろして陳列ケースのガラスを破った。犯行時間の前後には地域一帯で電気系統の火災が発生し、街灯が消えていた。

わずか数分の間に、世界で最も高価な部類の歴史ある宝石類が姿を消した。現在まで回収されたのはそのうちの一部に過ぎない。

地元の文化団体の責任者を務めるマリオン・アッカーマン氏はこうした宝飾品について、物的価値とは比較にならないほどの「計り知れない」歴史的、文化的重要性があると示唆した。

盗まれた宝飾品のほぼ全ては、最後のザクセン選帝侯だったフリードリヒ・アウグスト3世の治世に作られたもの。同選帝侯は後にザクセン王国の初代国王フリードリヒ・アウグスト1世として即位した。

このうち1780年代制作の帽子の留め具には大きめのダイヤモンドが15個、小さなダイヤモンドが100個以上あしらわれている。また長さ96センチの剣と鞘(さや)には合わせて800以上のダイヤモンドが使われている。

軽い量刑

ドレスデンの地方裁判所は有罪判決を受けた被告5人に対し、複数年の禁錮刑を言い渡した。被告らは全員が悪名高いレンモ一家のメンバー。このグループはドイツで最も勢力の大きい犯罪一家の一つで、ベルリンを主要な活動拠点とする。

主犯の一人、ラビエ・レンモ被告は禁錮6年2カ月を言い渡された。裁判所の報道官が明らかにした。共犯の被告3人の刑期はそれぞれ6年3カ月、5年10カ月、4年4カ月だった。4人目の被告には青少年を対象とした刑法が適用された。

上記4人の被告は罪を自白し、盗品の一部を返還した。5人目の被告は青少年拘置施設での5年間の禁錮刑を言い渡された。これはかねて出ていた有罪判決の分を含めた刑期となっている。24歳のこの被告は、最後まで盗みへの関与を否定。加わったのは犯罪に使用されたおのなど道具を入手する段階だったと主張していた。

5人の被告は、行方の分からなくなった宝石が今どこにあるかは知らないと述べた。裁判所の報道官が付け加えた。

22年12月、ザクセン州の警察は犯行に加わった可能性のある7人目の人物がいるとみて捜査していることを明らかにした。

警察は当時の声明で「緑の円天井にある防犯カメラの記録の検証に基づき、まず疑われるのは映像の中の人物が現場を調べることで盗難の準備を手伝っていたのではないかという点だ。事件前日の午前10時3分から午後0時21分の間にこの人物は現場を密かに監視し、そこで分かったことを直接の実行犯らに知らせていた疑いがある」と述べていた。

「手配中のこの人物は19年11月24日、宝石室に長い間、数回にわたり入っていた。宝物館の一般的な来館者とは明らかに異なる行動をとっている」

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