(CNN) イタリア人芸術家、マウリツィオ・カテランさんが手掛けた本物のバナナをモチーフにした作品について、フランスの文化施設を訪れた来館者が壁に貼った作品の中のバナナを食べてしまう出来事があった。
21日に発表された施設からの声明によると、「コメディアン」と題されたこの作品は12日、フランス東部にあるポンピドゥーセンター・メスの来館者に食べられた。
施設は声明の中で、「警備チームが内部の手順に従い、迅速かつ冷静に対処した」と明らかにした。
また「作品は数分後に再設置された」とし、バナナは「傷みやすい要素に過ぎない」ため、カテランさんの指示に従って定期的に交換していると付け加えた。
ギャラリーは警察に被害届を提出していない。
「コメディアン」は、「金融投機の不条理さと、アート市場を支える知識システムのもろさ」を示すことを意図しているという。
作品が食べられたのは今回が初めてではない。
2019年、米マイアミで開催されたアートフェア「アート・バーゼル・マイアミ」でカテランさんが「コメディアン」を発表した際、パフォーマンスアーティストのデービッド・ダトゥナさんが壁からバナナをつかみ、唖然(あぜん)とする何百人ものフェア参加者の前で皮をむいて食べた。
作品はバナナを交換した後、フェアで12万ドル(現在のレートで約1770万円)で落札された。
23年には、韓国ソウルにあるリウム美術館で、美大生が壁からバナナをはがしてそのまま平らげてしまった。
24年11月には、中国のコレクターで暗号通貨プラットフォームの創設者であるジャスティン・スン氏が、「コメディアン」をオークションで624万ドルで落札した後、当該のバナナを食べた。
ポンピドゥーセンター・メスは声明で、「今のところ、この30年間で『最も食べられた』作品だろう」と、「コメディアン」について語っている。
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原文タイトル:Someone has eaten artist Maurizio Cattelan’s $6 million banana – again(抄訳)