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「モナリザ」にケーキ投げ付け、汚損未遂騒ぎ

名画「モナリザ」にケーキ投げ付け、防護ガラスがクリームまみれ

ルネサンスの巨匠レオナルド・ダビンチの名画「モナリザ」が汚損されかける騒ぎが29日あった。世界的に有名なパリ・ルーブル美術館の来館者1人が、同作の防護ガラスの広い範囲にケーキ用のクリームを塗りたくった。

ルーブル美術館の声明によると、男(36)の来館者が車椅子で「モナリザ」に近づき、作品に向かってケーキを投げ付けたという。一連の出来事を捉えた動画がソーシャルメディア上で共有された。男はかつらを身に着けているように見える。その後の動画では、立ち上がって車椅子の近くにいる様子が映っている。

「来館者の1人が体が不自由なふりをして車椅子を使い、作品に近づいた。作品は安全な展示ケースの中に収められていた。ルーブル美術館の対応は通常の手続きに従ったものだ。当該の手続きによって移動の不自由な来館者もこの重要な芸術作品を味わうことができる」と、声明は述べている。

「作品に近づいたこの人物は、所持品の中に隠していたケーキをモナリザのガラスケースに投げ付けた。この行為は絵画に全く被害を及ぼさず、いかなる破損も生じなかった」

広報担当者は車椅子を利用する来館者について、他の来館者の前へ出て作品をよりよく見ることが許可されていると説明した。

ルーブル美術館の来館者が「モナリザ」の防護ガラスにケーキを投げ付けた/@klevisl007 via Twitter/Reuters
ルーブル美術館の来館者が「モナリザ」の防護ガラスにケーキを投げ付けた/@klevisl007 via Twitter/Reuters

ケーキを投げ付けた男は逮捕後、警察署内にある精神科の病院に収容された。パリの検察当局が明らかにした。検察が「文化財の破壊未遂」で捜査に着手している。ルーブル美術館はこれについて告訴している。

来館者が撮影し、ツイッターに投稿した動画では、逮捕された男がフランス語で「地球のことを考えろ。地球を破壊している人間たちがいる」と話しているのが聞こえる。警備員に連れていかれる際には、バラの花びらが床にまかれていた。

別の動画には、美術館職員がガラスについたクリームを拭き取る様子が映っている。

世界で最も有名な絵画とも言われる「モナリザ」を見に訪れる来館者は年数百万人。作品の前にはそうした来館者が列をなしている。作品自体は縦約76センチ、横60センチ弱程度の小さなものだ。

謎めいたこの肖像画は汚損行為や盗難と無縁ではない。1911年にはルーブル美術館の従業員によって盗まれ、国際的に注目を集めた。50年代にはキャンバスの下部に酸を浴びせられる被害があり、美術館側が作品周囲の防護策を強化。防弾ガラスのケースに入れるなどの措置を取った。2009年に女が怒りに任せて陶器のカップを投げ付けた際には、カップが砕ける一方、作品は無傷だった。

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