Arts

2022年のピレリカレンダー、B・アダムスが撮影 「音楽界の偉大なスターたち」に捧ぐ

セイント・ヴィンセントらをモデルに迎えたピレリカレンダーの22年版が公開された

セイント・ヴィンセントらをモデルに迎えたピレリカレンダーの22年版が公開された/Bryan Adams/Pirelli

イタリアのタイヤメーカー、ピレリはこのほど、豪華スターが被写体となることで知られる同社のカレンダーの2022年版をお披露目した。「On the Road(ツアーの途中)」と名付けられた今回の作品には、イギー・ポップやシェール、グライムス、ジェニファー・ハドソンといった音楽界のビッグネームが登場する。昨年のカレンダー制作は新型コロナのために中止となったが、今年はカナダ出身のロック歌手で写真家としても活動するブライアン・アダムスが撮影を担当。ニュースリリースによれば「音楽界で最も素晴らしい才能を持つ人々」に捧げるとしている。

アダムスは声明で「On the Roadとは、私が過去45年間いた場所を指す」「なぜならミュージシャンの人生はツアー公演や移動でできている。ホテルで待ったり、楽屋で過ごしたりする時間でできているからだ」と語った。

1964年以降、ピレリカレンダーを手掛けた写真家の数は37人に上る。アニー・リーボヴィッツ、マリオ・テスティーノ、ハーブ・リッツといった面々が、モデルのケイト・モスやナオミ・キャンベル、俳優のソフィア・ローレン、マギー・チャンなど印象深い才能の数々をカメラに収めてきた。2017年版ではピーター・リンドバーグがユマ・サーマンやケイト・ウィンスレットら多くのハリウッド俳優を撮影。赤裸々な姿をとらえたモノクロの肖像写真の連作として発表した。

48作目となる22年版は、ツアー公演を行うアーティストの生活を垣間見るのがテーマだ。それは街路の上にそそり立つあでやかな広告から、ルームサービスの食べ残しまでを網羅する。後者では料理を覆う銀のクローシュがそこらに散らばり、半分だけ食べたサラダや空のコップが写っている。写真には遊び心にあふれた起伏のあるストーリーがついて回る。カレンダーの月ごとに、アダムスは新たなスターのみならず、新たなシーンも紹介してくれるというわけだ。

銀色の塗料を体に塗って撮影に臨むイギー・ポップ/Bryan Adams/Pirelli
銀色の塗料を体に塗って撮影に臨むイギー・ポップ/Bryan Adams/Pirelli

5月の場面には、「楽屋入り」の言葉とともにシェールの3枚の写真が登場。名も知れぬ会場の迷宮めいた廊下を舞台監督よろしく闊歩(かっぽ)する姿をとらえる。11月はただ一語「ショーの後」の言葉に付随する数枚の写真の中で、バスタブの中のリタ・オラがポーズを取る。心ここにあらずといった様子で、手にした瓶からバスタブの縁の外へ液体をこぼし続けている。すべての月にはタイムスタンプも押されている。それはアダムスが物語るツアー中の生活というものがきれいにパッケージされ、1日の間に起きていることを表す。始まりは1月の午前7時45分。そこから12月の明け方午前4時12分まで続く。

写っているのは、ロックスターを象徴する図像の中でも最も素晴らしい部類のものに他ならない。壊れた口紅、捨てられたマイク、ピアノの上に腰かけるスターたちなど、若干の古臭さに目をつぶれば、どれも愛すべきイメージだ。カレンダー全体の撮影に要したのはわずかに3日。ほとんどのスターはロサンゼルスにあるシャトー・マーモントかパレスシアターで撮った。ただスウィーティーの写真の撮影現場は、イタリア・カプリ島のホテル、ラ・スカリナテッラだ。

アダムス自身の写真がカレンダーの最後を飾る。パイロット風のセルフポートレートからは、まだまだ刺激を求めてやまない貪欲さがにじみ出る。「さあ、次のショーへ向かおう」

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