60年近く動作していなかった人工衛星から強力な電波信号、天文学者を悩ませる
混乱のリスク
ジェームズ氏によれば、こうした放電は監視が難しいため、この電波信号の事象は、地上からの観測が「衛星に起こる奇妙な現象」を明らかにしうることを示している。研究者らがこれまで使用した大規模な望遠鏡ではなく、はるかに安価で構築しやすい装置を用いて同様の事象を探索できる見込みがあるとの見方も示す。一方でジェームズ氏は、リレー2号が初期の衛星であるため、現代の衛星よりもその材質が静電気を蓄積しやすい可能性があるとも推測している。現代の衛星はこの問題を考慮して設計されている。
しかし、衛星が銀河観測に干渉しかねないという認識は、新たな課題を提起し、宇宙ゴミがもたらす脅威を増やす。宇宙時代の幕開け以降、約2万2000基の衛星が軌道に到達し、その半分強が現在も稼働している。運用停止となった衛星は数十年にわたって何百回も衝突し、最大時速2万9000キロの速度で周回する無数の小さな破片を生み出している。