温暖化で数十億人が過酷な気象条件下に 研究者らが警告
現時点で年平均気温が29度以上の危険な暑さにさらされている住民は世界人口の1%に満たないが、すでに気候変動によって6億人あまりが「気候ニッチ」の外に追いやられた。
チー教授によれば、その大半は13度の冷涼なピークの近辺に住んでいた地域の住民で、現在は二つのピークの「中間領域」にいる。危険な暑さではないが、これらの地域は乾燥が激しい傾向にあり、歴史的に人類の繁栄に適した気象条件から外れてきたという。
チームは、気温が2.7度上昇した場合に危険な暑さにさらされる国としてインド、ナイジェリア、インドネシア、フィリピン、パキスタンを挙げた。上昇幅が3.6~4.4度に達する最悪のシナリオでは、世界人口の半分が「気候ニッチ」から外れ、人類が存亡の危機に直面する恐れもあるという。
レントン教授によれば、温暖化が0.1度進むごとに、約1億4000万人が危険な暑さにさらされる。これまでの対応が遅れたため、気候変動を必要なレベルまで抑えるには、温室効果ガス排出量の削減や世界経済の脱炭素化のスピードを5倍程度に上げる必要があるという。