航空業界が直面する飛行機雲問題、容易に解決できる可能性も
(CNN) 晴れた空でジェット機が通過した後にできる飛行機雲は、一見無害に見えるが、実は環境にとって驚くほど有害だ。
2000年~18年の間に航空が気候変動にどれだけ寄与したかを調べる調査がこのほど実施された。その結果、航空業界が地球温暖化に与える影響の57%は飛行機雲が原因で、その影響は燃料の燃焼による二酸化炭素(CO2)の排出をはるかに上回ることが明らかになった。飛行機雲が温暖化につながる理由は、飛行機雲が本来宇宙に放出されるべき熱を閉じ込めてしまうためだ。
しかし、この飛行機雲の問題は容易に解決できる可能性がある。飛行機雲は、ジェットエンジンから放出される小さな粒子を核として、水蒸気が凝結して氷の結晶になることにより形成される。
飛行機雲ができるためには、気温が低く、湿度が高くなければならず、常に雲が消えずに長く残るとは限らない。
飛行機雲を発生させる可能性が高いフライトを特定し、その飛行経路をほんのわずかに変更することにより、飛行機雲による被害の大半は防げる可能性がある、と研究者らは言う。
英国を拠点とする火山学者兼起業家のアダム・デュラント氏がやろうとしているのはまさにそれだ。
デュラント氏は13年に自身の会社サテイビアを設立し、当初はちり、氷、火山灰などの有害な汚染物質から航空機のエンジンを守ることに特化していた。「その後、新型コロナウイルスの影響で業界全体の優先順位がサステナビリティー(持続可能性)を重視する方向にシフトした」という。
甚大な影響
サテイビアは、飛行機雲対策に軸足を移し、飛行機雲の形成につながる気象条件を予測できる天気予報モデルを開発した。
デュラント氏の推測では、飛行機雲が気候に与える影響の8割か9割は、全フライトのわずか5~10%が原因だという。そのため、ごく一部のフライトの飛行経路を変更するだけで、飛行機雲による気候への影響の大半は防げるとデュラント氏は主張する。